俺はふとクリスマスソングに足をとめた。
なんだろうな?田舎のショッピングモールだと、ウキウキわくわく、軽快な音楽が中心だ。
ー俺の心が桜散るでも。
いや、散ったわけじゃないし、いまだにクリスマスだけど。
フードコートで、端っこの一角のテーブルに、問題集をひろげながら、炭酸をのむ。
「なんか?上の空だよね?」
って真向かいにいた柴原が、俺と違ってすらすら流れるように、解答欄をうめていく。
ーこいつの脳みそどうやってるんだ?
「俺、マジで受かる気しないんですけど?」
恐れ多いことに、俺の志望校は柴原と同じだ。推薦だけど、なぜか学校から選ばれたおれだ。
まあ、選ばれただけで、合格栗はあまりない。去年なんか推薦全滅だって話だし。
チラッと脳裏にアニキが浮かぶけど、兄貴はそもそも推薦断ってたしな。
曰く、遠距離すぎるって。
ー遠距離かあ。
いま、東京におくったら間に合うのかなあ?
ふとそんなことを思うけど。
「いいねー、青春」
とか合間にポテトくいながら、サラサラ問題うめてくけど。
「…これ以上食うなら明日菜にブレンドおくれない」
と、ぼやいた。
先に問題終わらせた方が、ゴチ代はらう掛けだ。
柴原3教科。おれ、得意科目なのに、なに?これ。
さすがにまずいだろ?
クリスマスソングを耳にしながら、プレゼントかあ?
って思いながら、
ー冬にカメムシいたかな?
って思ってた。