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SS クリスマス4


真央からのメッセージで、春馬くんが残業になると知った。

ついでに春馬くんのミスで、イケメン先輩もイケカマ係長も残業らしい。

「まあ、かわいいじゃない?はじめての明日菜とのクリスマスに浮かれてるんでしょ?」

メッセージをみて、謝る私にスマホから快活な真央の声がする。真央の赤ちゃんはいまは眠ってるらしい。

「明日菜はどうなの?たくさんお料理とか頑張って作ったんじゃない?」

「ううん?メインは、お取り寄せとかだよ?」

「愛妻弁当は、作るのに?」

「お弁当はほら?最近、忙しいって言ってたし、コンビニのお弁当じゃ足りないかなあ?って」

外にランチに行くヒマもないらしいし?

とりあえずまだ私は本格的なお仕事の復帰をしてないから、のんびりモードじゃある。

逆にお仕事でバタバタな日は春馬くんが、家事をしてくれてる。

ー愛夫弁当は丁寧にお断りしてるけど。

昼間からびっくり箱は遠慮したい。

「私の場合、冷凍食品とか利用も多いし,お料理はまだまだだから」

クリスマスに手に込んだ料理を、は、考えなかった。

わけ,じゃないけど。せっかくなら美味しいものをたべて欲しいし?だけど。

「真央は?」

「うちは前倒しで姉の一家とクリスマス会したから、もう特別しないよ?」

って肩をすくめる。

「明日の朝にこの子にサンタさんが来るくらいかなあ?私の子だからいつまでサンタ信じるかはわからないけどさ?わりと親のイベントだよね?」

って笑う。

そのうち、現金に変わるんだろうけど。

クスクスと真央は笑う。クリスマスかあ。毎年、しばらくは両親から届いてたかなあ。

あと、春馬くんの相変わらずミラクルレインボーとご当地マグカップ。

華やかな世界で、まあ、いろんなプレゼントとかももらってたけど、春馬くんは、

ね?

相変わらず、春馬くんで。

だけどギクシャクしていたクリスマスだってあるけど。クリスマスにラブストーリーとかあるし。

大都会で見えない星空相手に、泣かないように瞬きはやくしたり、スマホには、メッセージの既読すらつかないから、

ーさよなら、さえ、許してくれないんだ。

なのに、届くプレゼントは春馬くんを忘れさせてくれない。

「…真央は」

って無意識に口にして、私は続ける言葉を飲み込んだ。

けど、流石は真央だ。

「いままでの元カレたちとのクリスマスをどうすごしたか?」

って、あっさりきいてきて、

「そういうイベント前に別れてたから」

って相変わらずな発言だった。

そういえば、そうだった。春馬くんと連絡つかないときは、大抵の場合、真央が相談や愚痴をきいてくれてた。

「ほら?下手にプレゼントとかもらったら、揉める場合もあるか、さ?そういうのがめんどくさいからさあ?」

「イケメン先輩のプレゼントも?」

「うーん?先輩はサプライズしないから、助かるかな?欲しいものは、自分で選びたいし?たまに何気なく残り少ないトイレットペーパーとか買ってきてくれたら、ありがたいし?」

「真央、クリスマスプレゼントにトイレットペーパーって」

「だって先輩も使うし?気を使わないでお礼いえるからさ?嬉しいよね?」

たしかに?

「まあ、さりげなくきちんとプレゼントを先輩はくれるよ?いままで、誰ともつきあったことないっていう割には、ちょっと面白くないくらいにはさ?」

って、珍しく真央の声に不満がのこる。私は笑った。

「そういうところは、イケカマ係長さんの影響じゃない?」

「まあね。そうだと思うけど。嫉妬したって勝てないけどさ?」

「嫉妬って、認めるんだ?」

「そりゃあ、上司だし、美人だし、人間的に器が違うし?」

って真央は珍しくすねてる。

「ほんとうは、この子にも妬いちゃうんだ。先輩、親バカすぎるから」

って、

「男の子なのに?」

「男の子だから、かなあ?」

「そうなんだ」

赤ちゃんできると、また違う空気になるんだろうなあ。

真央は軽くため息つくと、

「明日菜がちょっとだけ羨ましいかなあ?」

「えっ?」

「2人だけのクリスマス。たのしんでね?」

って、真央は笑うんだ。

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