真央からのメッセージで、春馬くんが残業になると知った。
ついでに春馬くんのミスで、イケメン先輩もイケカマ係長も残業らしい。
「まあ、かわいいじゃない?はじめての明日菜とのクリスマスに浮かれてるんでしょ?」
メッセージをみて、謝る私にスマホから快活な真央の声がする。真央の赤ちゃんはいまは眠ってるらしい。
「明日菜はどうなの?たくさんお料理とか頑張って作ったんじゃない?」
「ううん?メインは、お取り寄せとかだよ?」
「愛妻弁当は、作るのに?」
「お弁当はほら?最近、忙しいって言ってたし、コンビニのお弁当じゃ足りないかなあ?って」
外にランチに行くヒマもないらしいし?
とりあえずまだ私は本格的なお仕事の復帰をしてないから、のんびりモードじゃある。
逆にお仕事でバタバタな日は春馬くんが、家事をしてくれてる。
ー愛夫弁当は丁寧にお断りしてるけど。
昼間からびっくり箱は遠慮したい。
「私の場合、冷凍食品とか利用も多いし,お料理はまだまだだから」
クリスマスに手に込んだ料理を、は、考えなかった。
わけ,じゃないけど。せっかくなら美味しいものをたべて欲しいし?だけど。
「真央は?」
「うちは前倒しで姉の一家とクリスマス会したから、もう特別しないよ?」
って肩をすくめる。
「明日の朝にこの子にサンタさんが来るくらいかなあ?私の子だからいつまでサンタ信じるかはわからないけどさ?わりと親のイベントだよね?」
って笑う。
そのうち、現金に変わるんだろうけど。
クスクスと真央は笑う。クリスマスかあ。毎年、しばらくは両親から届いてたかなあ。
あと、春馬くんの相変わらずミラクルレインボーとご当地マグカップ。
華やかな世界で、まあ、いろんなプレゼントとかももらってたけど、春馬くんは、
ね?
相変わらず、春馬くんで。
だけどギクシャクしていたクリスマスだってあるけど。クリスマスにラブストーリーとかあるし。
大都会で見えない星空相手に、泣かないように瞬きはやくしたり、スマホには、メッセージの既読すらつかないから、
ーさよなら、さえ、許してくれないんだ。
なのに、届くプレゼントは春馬くんを忘れさせてくれない。
「…真央は」
って無意識に口にして、私は続ける言葉を飲み込んだ。
けど、流石は真央だ。
「いままでの元カレたちとのクリスマスをどうすごしたか?」
って、あっさりきいてきて、
「そういうイベント前に別れてたから」
って相変わらずな発言だった。
そういえば、そうだった。春馬くんと連絡つかないときは、大抵の場合、真央が相談や愚痴をきいてくれてた。
「ほら?下手にプレゼントとかもらったら、揉める場合もあるか、さ?そういうのがめんどくさいからさあ?」
「イケメン先輩のプレゼントも?」
「うーん?先輩はサプライズしないから、助かるかな?欲しいものは、自分で選びたいし?たまに何気なく残り少ないトイレットペーパーとか買ってきてくれたら、ありがたいし?」
「真央、クリスマスプレゼントにトイレットペーパーって」
「だって先輩も使うし?気を使わないでお礼いえるからさ?嬉しいよね?」
たしかに?
「まあ、さりげなくきちんとプレゼントを先輩はくれるよ?いままで、誰ともつきあったことないっていう割には、ちょっと面白くないくらいにはさ?」
って、珍しく真央の声に不満がのこる。私は笑った。
「そういうところは、イケカマ係長さんの影響じゃない?」
「まあね。そうだと思うけど。嫉妬したって勝てないけどさ?」
「嫉妬って、認めるんだ?」
「そりゃあ、上司だし、美人だし、人間的に器が違うし?」
って真央は珍しくすねてる。
「ほんとうは、この子にも妬いちゃうんだ。先輩、親バカすぎるから」
って、
「男の子なのに?」
「男の子だから、かなあ?」
「そうなんだ」
赤ちゃんできると、また違う空気になるんだろうなあ。
真央は軽くため息つくと、
「明日菜がちょっとだけ羨ましいかなあ?」
「えっ?」
「2人だけのクリスマス。たのしんでね?」
って、真央は笑うんだ。