12月より連載していた「エジカ・クロニカ さだめの王と名もなき王笏」が完結しました。
ちょっとでも興味を持って目を通してくださった方、最後までお付き合いくださった方、連載中にあたたかい言葉をかけてくださった方、宣伝にご協力くださった方、すべての皆さまに厚く御礼申し上げます。
皆さまがいらっしゃらなかったら、確実にこのお話にエンドマークをつけることはできませんでした。これは断言できます。
本当に皆さまに支えられて書いた物語でした。ありがとうございました。
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下記は非常にぐだぐだしたチラシの裏の落書きなので、作品語りとかに興味がない方は回れ右をしてくださったら幸いです。
私は(自分の書いた物語については)、物語は物語のなかで完結させるべきと思っていて、作品の外であまり作品を語ったところで言い訳っぽく見えてしまうよなーなどと頭をがしがし掻きむしりつつ、キーボードを打っています。
この話は私の読みたい少女小説を詰め込んだお話です。
少女小説ってなに、っていう方もいらっしゃると思うので、例を挙げると、(ここはカクヨムさんなのでKADOKAWA系列のレーベルの名を挙げると)角川ビーンズ文庫様とか、ビーズログ文庫様とかあの辺りから出ているお話をイメージしていただくと、なんとなく「あっ」て思いやすいのではないかと思います。
とはいえ、現在の少女小説シーンからは大いに乖離した内容ですが(苦笑)
私が昔、少女小説を貪り読んでいた頃の少女小説に、私は最近海外ドラマに首ったけなので洋ドラ的ハラハラドキドキ感をプラスして、かつジェンダー観などなどは今の感覚にアップデートできている…といいなあというところです。
恋愛はどこ…? という感じですみません。
でも私なりに、ひとりの少年と少女の名状しがたい魂の交流を描いたつもりです。ここまで相思相愛なふたりを書けたのははじめてな気がします。
それがいずれ恋愛の形になるかどうかはいまだ作者にも正直分かりませんし、この二人には(本編中には描き切れませんでしたが)恋愛になっちゃったら困ることが沢山あって、今の状態ではどうやっても恋をさせたらアルに失恋させることになってしまって私が悲しいので、そこまでは踏み込んで描きませんでした。
少なくともあの二人は心の奥底を共有して、ひとつの道をともに歩いていくのかなと思っています。生まれが特殊なふたりなので、何度も道が分かたれる旅になるとは思いますが。
このお話のプロトタイプを書いたのは2015年です。
今とは全然違う話でしたが、アルとイオはいて、《詩篇》に支配された世界観はほぼまったく変わりなく、主従の話でした。あまりにも筆力及ばず誰にも見せずにポイっとしました。
それから何度も書き直して、数十万字をドブに捨てましたが、ようやく日の目を見ることができて感無量です(あまりにも迷走して一時期学園ものになったこともあります。あのときの私はどうかしていた)。
なんで書けなかったかっていうと、私は少女小説とは少女の選択の物語であってほしいと思っていて、今まで書いてきたヒロインはほぼほぼ「王女」とか「姫」とか特別な力の持ち主とか、なんかそういう「自己決定のできる」キャラがほとんどでした(そうは言いながらも私の話は基本的に主人公が地べたに這いつくばらされるのですが)。
それゆえヒロインが主、ヒーローが従な主従を書くことが多く、従属性ヒロインと主属性ヒーローを書くのがとにかく難しかった。ヒーローの意志に依存するヒロインは絶対に書きたくないし、かといってヒーローを尊重できない、心を捧げられないヒロインもちがう。何度も突っ込んでいっては、書けねえ…と途方にくれました。
プロトタイプイニーツィオは、現行イニーツィオよりはバルトロに近いタイプでした。カリスマ性のある王様ですね。
でも私が書きたいのはカリスマ性のある主に仕える女の子なのか…? と突き詰めていった結果、今のイニーツィオを中心とした物語になりました。
お話の主軸も、プロトタイプカントゥス家をめぐる、アルとその血と家をめぐるお話だったものが、イニーツィオ中心のお話に変わりました。
私は群像劇が大好きなので、今回も群像劇として書かせてもらいました。
私が書くキャラでしかないなあというタイプもいれば、今回はじめて書いたタイプの人もいます。
私の力及ばず、すべてのキャラを描き切ることができたかといえばそうではないと思いますが、それぞれがさだめに抗って生きるキャラクターというのは共通しています。
だれかひとりでもお気に召していただけるキャラクターがいたら嬉しいです。
私はキャラクター描写に我に返ってブレーキをかけてしまうことが多々あるんですが、今回は思いきり、スベってもいいからとにかく出し切ろうという気で書きました。
この話は八章ラストあたりからのお話を見ていただければわかるように、物語世界にはまだまだ問題が山積しています。
主人公であるアルが抱えるものにもあまり踏み込むことができませんでした。
なので、私の力が及べば続きを書きたいお話でもあります。
ここ数年、書きたいものに力が及ばずにお話を書くことを手放しそうになったこともありましたが、この話を拙いながらも最後まで書くことができて幸甚でした。
繰り返しになりますが、それはこのお話を読んでくださる皆さまがいらっしゃらなければ、到底為しえなかったことです。
ここに重ねて御礼申し上げて、あとがきに代えさせていただきたいと存じます。