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2024年8月19日の近況報告 なぜ人を殺してはいけないのか? について語ろう

 今回のお話のテーマはだいぶ物騒な話だが「なぜ人を殺してはいけないのか?」という物だ。
 結論を言うと「自分が自由に誰かを殺せる権利」を手放す事で「いつ自分が誰かに殺されるか分からない、という不安」を無くすためだ。



 まず「あなたが殺される立場になった」としよう。そうすると100%、必ず、文字通り『必死で』抵抗するはずである。少なくとも「死にたくない」って思うだろ?
「いやいや、死にたいって言ってる人間はそこら中にいるけど?」っていう反論が出るだろうが、そんな人でもいざロープや包丁やナイフを持って殺気を漂わせる人と会ったら、例外なく全力で抵抗する。
 なぜなら人間というのは「言ってる事とやってる事が矛盾する」生き物だからだ。



 マクドナルド利用者にアンケートを取ったら必ず「サラダなどのヘルシーなメニューが欲しい」っていう声が返って来るが、それらは絶対に売れない。
 逆に肉をこれでもかと増量した「クォーターパウンダー(4分の1ポンド、という意味)」というメニューが大ヒットしたんだが、このように人間は言ってる事と本心が矛盾するのが普通なんだ。
「普通の人」っていうのはその自己矛盾に「気づいてさえ」いない。その自己矛盾に気づけるだけでも十分少数派なのよ。



 なので、これから自分を殺そうとしている人に向かって「ありがとう! やっと僕を殺してくれるんだね!!」って目をキラキラと輝かせて歓喜する人はいない。そんな人はとっくの昔に自殺してる。
 誰だって……それこそ毎日「死にたい」どころか「誰か殺してくれ」って言う人でさえ、本心では死にたくない。だから殺してはいけない。
「自分がされたら嫌な事を他人にしてはいけない」ってやつだ。



 次に「あなたの知りあいが殺される立場になった」としたら、これも全力で阻止しようとするはずだ。
 父親、母親、兄弟姉妹、祖父母、友人、知り合い……どれもあなたにとって大切なものだ。
 彼らが殺されると知ったら実に嫌な話だろ? 絶対に阻止するだろ? だから殺してはいけないんだ。
 ここでも「自分がされたら嫌な事を他人にしてはいけない」ってやつだ。



「嫌いな奴は死んでもいいのでは?」とお思いでしょうが、
 あなたにとって嫌いな奴でもその人には親がいて、配偶者がいて、子供もいるかもしれないし、あるいはその人にも友人知人の1人くらいはいるだろう。
 その人たちからしたら「たとえあなたが嫌いな人だったとしても絶対に死なせたくない」と思うだろうし、その人を守るためだったら何でもやるだろう。
 だから殺してはいけない。



 日本には「死刑」という罪を犯した人の命を奪う罰則があるが、
 あれは人類の社会の歴史で蓄積されていた膨大な集合知の結晶である法律を基にして、法に精通した裁判官というその道のプロが判断するから許されるのであって、
 少なくともあなたが気軽に人の生死を決める立場にはいないはずだ。



 また、日本では「基本的人権」というのが憲法で規定されていて、そこでは「善人も悪人も関係なく日本人なら全員救う」という事にしている。
 なぜ悪人ですら救うのか? それは「『救う人と救わない人を決める基準』を定める人は誰なんですか?」という答えの出ない、というか「答えを出してはいけない」問題にぶち当たるからだ。



 人権で救う救わないの基準を「誰か」が決めてしまうと、その「誰か」に従わない人は、その「誰か」が気に入らなかったり嫌いな人はいくらでも死んで良い、むしろ死ぬべきだ。
 という「フランス革命後の恐怖政治」も真っ青の独裁が行われるからだ。
 だから「良い悪いの線引きなんて誰にもできないから善人悪人問わずにとりあえず全員救いましょう」となっているわけだ。



 実際の話として「透析患者は自己責任だ。全員実費負担させろ」ってほざくフリーアナウンサーがいたが、彼の言う事を詳しく聞いたら
「こいつは態度が気に入らないから治療してあげない」っていう「医者が患者の態度を見て好き嫌いで治療するかしないかを決める」のを良しとする
 とんでもない差別発言をしたんだが、これと同じ事がいろんな場所で起きるのを防ぐために「基本的人権は日本人なら例え死刑囚であろうと救う」事にしてるんだ。



「なぜ人を殺してはいけないのか?」
 それは「誰も殺されたくない」「誰も知りあいを殺されたくない」からだ。自分が殺される立場にはなりたくないから他人を殺すのは辞めましょう、というわけだ。
 例え家族一同から見捨てられた犯罪者であっても看守くらいは「コイツは2度と塀の中に戻って来ないで欲しいんだけどなぁ」位は思ってますよ。



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