先日私が運命に出会い、その危うさを知った話です。
昨年10月から所属している劇団の同期生の1人と、お付き合いを始めるきっかけとなった出来事です。
何度か2人で会った後、一緒に海に行きました。
穏やかで、彼の隣で波の音を聴いているだけで幸せだと思いました。私は彼が好きでした。
数回深呼吸をした彼が好意を伝えてくれたとき、私は嬉しさと同時に怖さを感じました。
偶然を何度も重ねて出会え、仲良くなれた彼に運命を感じたのに、運命を信じたいのに。これまでに交際した男性にも運命を求めて失敗したことを思い出して、彼とも同じように別れを前提として一緒にいるのかと、臆病になりました。
言葉を返せない私に対して、彼はこう言いました。
「俺は、〇〇ちゃんの隣で堂々としていられる自分になりたいって、ずっと思ってるんだよ」
私の小説を既に読まれている方はお気付きかもしれません。『生が二人を分かつ間に』の作品中で、「I love you」の訳し方として書いた言葉と酷似しているのです。
あぁ、これが運命か。抗おうとすればするほど、圧倒的な根拠を見せつけてくる。運命だと信じざるを得なくなる。
運命とはこんなにも強制力のあるものだったのかと、怯える気持ちもありました。
しかし、これが本物の運命なのだという今までにない実感に、胸が高鳴りました。
実のところ、少し悔しかったです。
私が数年かけて出した「愛してる」の答えを、いとも簡単に口にされてしまったこと。
そして私が、運命に屈してしまったこと。
もし。
いつか彼と離れることがこの運命に含まれているのなら。
全力でぶっ壊してやろうと思っています。
幸い、今のところ運命と闘う必要はなさそうで、穏やかな日常を過しております。
彼の言葉にピンと来なかった方は『生が二人を分かつ間に』を、
運命が何かを考えてみたい方は『アンチ・ストックホルム』をお読み頂ければ。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
それではまた、どこかでお会い出来る日を楽しみに。