これは、救いの物語ではない。
少なくとも、わかりやすい救いの物語ではない。
この作品が描くのは、「自分の席がない」と信じ続けた人間が、それでも愛を求めずにはいられなかった姿です。
家族の中にも、教室にも、恋人の隣にも、誰かの人生の中にも。自分が座っていい場所はない。当然に。
そんな感覚が、主人公・愛花の恋愛、仕事、依存、祈りのすべてに繋がっていきます。
この小説は、かなり読者を選びます。
痛みは重いし、後味も決して良くはない。
「傷ついた人が最後には報われ救われる結末」を期待すると、苦しくなるかもしれません。
でも、この作品は痛みを消費しない。
愛されたい。
必要とされたい。
忘れられたくない。
忘れられたい。
その切実さを、綺麗事にせず、描いたつもりです。
章題の花にも注目していただきたいです。
桔梗、秋桜、スノードロップ、勿忘草、そして紫陽花。
咲き始めの淡い緑は、「ひたむきな愛」の色。
読み終えたあと、きっとその緑は、あなたの目に違う色として映るでしょう。
誰にでも読んでほしいと言える作品ではありません。
でも、愛が救いにも呪いにもなることを知っている人のために書きました。
あなたの人生の、特別な棘になりますように。