「花旦綺羅演戯 ~娘役者は後宮に舞う~」(
https://kakuyomu.jp/works/16817330647645850625)、年末年始の毎日2回更新が終わりました。明日1/4以降は、完結まで毎朝1回更新でお送りします。引き続きお付き合いくださいますようお願いいたします。
作中で、反串《ファンチュアン》=京劇で、役者が本来の役どころと異なる役を演じること、という概念を紹介しました。歌舞伎でも、ひとりの役者さんが立役と女形の両方を演じることがあるようですが、若い方が芸風を広げるためだったり、身長体格などの容姿面で男女役両方に適性がある方だったり、ということのようです。一方、京劇だと、本来は一つの行当《ハンダン》を究めるものであるところ、あえて違う役どころをやるのを楽しむもののようです。ものすごく卑近な例で言うと、バラエティ番組で芸人さんや俳優さんが女装するようなもの、なのでしょうか。
宝塚ファンの私としては、この概念を知った時に「あーはいはいアレですね!!」とものすごく納得しておりました。というのも、宝塚にもしばしば反串《ファンチュアン》が見られるからです。主に、男役さんが女性の役を演じるパターンが多いですね。(逆が少ないのは、宝塚においては男役の活躍のほうが観客に求められるからなのでしょうか……)
恐らくは皆さんご存知の「ベルばら」のオスカルをはじめ、「風と共に去りぬ」のスカーレット、「ミー&マイガール」のジャクリーン、「ガイズ&ドールズ」のアデレイドなど、男役が演じる(ことが多い)女性の役は多いですね。概ね、自我が強く自己主張も激しい女性のパワフルさを演じるために男役さんを当てているのかな、という感じがします。(オスカルは、良くも悪くもすごく女性的なキャラクターだと思うのでちょっと違うかも)基本的には娘役トップの役である「エリザベート」のタイトルロールも、男役スターさんが演じたことがありますね。シシィ(=エリザベート皇后)、史実でも作中でもエゴの塊ですからね。
ファンとしては、スターさんの新たな一面を見られて嬉しいような、宝塚にいられる時間は限られているからやっぱり男役が見たいような複雑な思いですが……でも結局、推しが輝いていたらOKですね!
そんなファン心理、「清く正しく美しく」への信仰は割とくっきり作品にも滲んでいるかと思いますが、緩く見逃していただけると良いです。花旦綺羅の根底に流れるテーマは「舞台って素晴らしい」です。物語も後半ですが、国を巻き込む大芝居の結末を見守っていただけますように。