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「ぐうたら剣姫行」218話とお金の話

第218話、219話を投稿いたしました。

フィンに支払ったとんでもない報酬。
ずっしり重たい財宝袋。個人で持ち歩けるものではなく、こんな山中で渡されても邪魔にしかならない。それがわかっていてレイマールは「全て」渡すように命じたのだとカルナリアは気がつきました。

で、細かいところの解説です。

袋が破れてフィンの足元に中身がばらまかれた時に、「金銀財宝があふれた」ということはありません。
使う時のために会計係はきちんと分類し、自分が持つ袋は最も価値ある宝石類、兵士Aは金貨、兵士Bは銀貨袋を持っていました。破れたのは兵士Aの金貨袋です。

カラント王国の貨幣制度や価値については49話「はじめてのかいもの」参照。1ギリアム=1円ぐらいでイメージしてください。もちろん色々なものの価値が違うので、完全にイコールではありませんが。
平均的な庶民の食事、一食の相場が500ぐらい。小銀貨は1枚1000。もっと価値のある大銀貨、特級銀貨、重さ次第の銀の粒なども使われています。エラルモ河を下る船は、「船中一泊で8000が相場」なところを「2万から!」と吹っかけていました。
魔導師に治癒魔法を施してもらう相場は小金貨1枚(150話)。日本円に置き換えれば数万円というところ。下層階級の一家が一月暮らしていける額です。

魔法ではありませんが、カルナリアが押しつけられる前のフィンはローツ村で、効果の高い薬を無料で配布していました。そりゃあ村長のランダルとしては実にありがたく、フィンの意向を全面的に尊重ししたいようにさせるというものです。
一方でお姫さまのカルナリアは、逃避行以前は「お金」とは小金貨のことだと思っていました。それ以上のものはともかく、銅貨など見たこともありません。いちおう王宮のあちこちをうろつき回る中で下働きの者たちが給金や物価について話しているのを耳にするなどで存在は知っていたのですが、それすら知らない王族の方が多いくらいです。

「無学、非力、未成熟な女子奴隷」は、本来なら金貨2枚程度です。20万円ぐらい。器量よしでなければ1枚ちょっとでも買えてしまいます。もちろん、買って『楽しんで』すぐ捨てる、などはできません(買い主には面倒を見る義務があるので)。
歓楽街ラーバイにカルナリアが売られた時に、不良少年たちが10枚で売ろうとしていたのはかなりの吹っかけで、結局6枚ということにされましたがそれでも彼らにしてみればものすごい高額で売れたということになります。家賃を払い住居を得てそれなりの衣服をととのえることができるくらい。そりゃ飛び跳ねるというものです。
カルナリアは、奴隷売買市場はもちろん見たことがありませんでしたしここまでの旅路でもフィンとそういう話をしたわけではありませんでしたが、その時の経験から、袋にぎっしりの金貨はいくらなんでも多すぎるということを確信しました。

そして悲しいことに、こういう設定を色々作りはしたのですが、肝心のカルナリアがお金を使う展開がほとんど出現せず、作中で披露することができませんでした。
なのでこちらで公開です。

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