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Dr.シグマシリーズ「ラプソディー・イン・メタル」 のあとがきです。

「ラプソディー・イン・メタル」 は、大学4年のとき(1980年)に、東京理科大SF研究会会誌「断末魔」に載せた作品で、なんせ古いもので、冒頭で物性物理の金属転位の研究に使う純銅の線なんかを作ってたりしますが、今どきこんなもん使う研究してる人、いないだろーなー。
 ちなみに舞台も、冒頭で やっと大学《りかだい》から帰れる、 とルビを振ってるように、理科大神楽坂校舎周辺が舞台で、あちこち具体的な場所が出てきていたのですが、書き換えました。
 で、金属結合してしまって、主人公の頭の中をのぞき込むシーンは、
 諸星大二郎「生物都市」、かんべむさし「社長室直属遊撃課」、新井素子「あたしの中の……」がこの状況に似てるシーンとして出てきたわけですが、もう通じないだろうなー、ということで、カットしました。
 題名は、もちろん、ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」からとりました。


「バミューダ・カプリチオ」 は、翌年OBとして「断末魔Ⅱ」に載せたもの。星新一ショートショートコンテストに受賞したはいいが、講談社のショートショートランド誌に、載せてもらえるようなショートショートがちっとも書けないのに悩んでた頃。うーん、自分の書いてるいくつものショートショートよりこっちの方が面白い。
 ちなみに、題名は、冨田勲の「バミューダ・トライアングル」が由来です。


「ボレロ」 は、もちろん、ラヴェルの「ボレロ」です。このあたりの頃になると、あまり女の子が出ないのは色気がなくって、つまらないので、美穂ちゃん、というキャラを出してきて、「バミューダ・カプリチオ」あたりから書き直しています。
 ちょっと見、女子高生?いや中学生かな、というポニーテールの子で、志熊博士のゴミ箱をあさる代わりに、身の回りの世話をしたり、援助をしてます。
 実は、マサチューセッツ工科大学(MIT)を出ているのですが、それだけじゃなく、卒業までにすべての研究室、研究所、ラボに出入りして、全教授から知識を吸い上げ切ってしまった、というとてつもない才女で、志熊博士のゴミ箱から、出来損ないアイデアを、この世で果たして何人理解できるだろうか、という博士の発想を取り入れ、応用し、画期的な物として次々に製品化し、あっという間に世界的な大企業。
 世の中の装置ではできないような物も工場内で内製化し、自社の製品に使ったり、志熊博士が欲しい装置も作って、金銭、物理面で援助をしてるという、きゃぴきゃぴっ子です。
 今回、3編の統一を図るために、残念ながらカットしました。
 SFマガジン誌 のハヤカワ・SFコンテストに応募したのですが、選者の星敬さんに「いきなり地球が出てくるのは質量保存の法則に反している」と指摘され、没。
 そのあたりを改稿した物も書いてみたのですが、どうも面白くなくなってしまったようで。なあに、タイムマシンだって、何もない空間にいきなり現れるじゃないか、そんなことを言ってたら、話にならないやい、と、今回は開き直らせていただきました。

 Dr.シグマのシリーズには、このほかに、
「ブロッホの檻」がありますが、つまらないので没。
「アラとロリー」は、未完なので没。
 てなわけで、この3作で完結、とします。

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