密室の話の続き

 気が付けば朝になっていて、放置されている画面に目をやれば放り投げたトリック論があるので一日にダブル更新。一限で冷えた手が寒いです。体調自体は悪くないのでしょうが・・・・・・二時間ほどの睡眠で頭の靄もそれなりに晴れたところで今朝の続きに入ろうと思います。
 意図的に設計された密室が犯人という存在自体を隠さないために意義が問われるという話でした。
 あれから考えて、こうなるとむしろ密室がデメリットに働いているように思われます。密室作成という計画性により偶発的な犯行でないことが補強されますし、作成過程は徒労に過ぎません。悪戯に現場に証拠を残すという点では(普段は考慮されない警察の捜査)という点でも劣るでしょう。
 では密室はなぜ作られるのでしょうか?
 トリックという点に立ち返るのならば、私はやはり誘導もしくはリスクヘッジのための不特定以外の意図がないと思います。論理という絶対性のもと密室が破れない限り犯人側が設定した犯人が探偵により比定されます。
 これは物語の構成上からもアリでしょう。第一被疑者=犯人というオチの小説は基本的にはありません。(厳密にはありますが紆余曲折の末一回転した結論であり、現行犯でない限り一発で確定されるということはないと思います)
 つまり、犯人が違うという前提のもとでもそれは誘導ということになるでしょう。ただ、誘導が前文の第一の被疑者=犯人という暗黙の了解であることを嫌うならばやはりそれは特定させないということになるでしょう。
 私が言いたかかったのは多分、
・それならば密室でなくてドアを開けっぱなしにしていても容疑の均分化は達成されるのではないか?
・その方が労力が少ないのではないか?
・逃避行動という論理の極限性——犯人側のリスクヘッジという観点からなるべく自らの手を加えない方が合理的だ
 ということですね。なんか自分でもすっきりしました。ただ、一つ納得いかないのがこのままでは密室が否定されてしまうことです......いや、密室自体にも犯人の不特定作用はありますから完全な否定ではないですね。ただ、非効率的というか合理的でないというか。謎は深まるばかりなので今回はここまで。

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