今日は最近読んだ大賞作品二作について、書こうと思います。
その二作とは……これらです。
(1)竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る(fudaraku)
(2)成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)
(1)の竜胆の乙女は、第30回電撃小説大賞《大賞》受賞作。
(2)の成瀬は、2024年本屋大賞受賞作。
この二作品を読もうと思ったのは、今の時代の頂点にある作品を知りたかったから。
結論から言って、どちらの作品も面白かったです。
当たり前ですかね。
以下はネタバレしないように書きましたが、人によってはネタバレと捉える方もいるかも知れません。
未読の方はご注意ください。
(1)竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る(fudaraku)
美しいけれど残酷な描写も多く、人を選ぶ作品だろうなと感じました。
「物語は、三度、進化する」のキャッチコピーはその通り。
「『驚愕の一行』を経て、光り輝く異形の物語」という謳い文句も偽りなくでしたね。
この『驚愕の一行』というのが、前半のひっかかりをこれから覆していくよという合図。
三幕構成でいうところのミッドポイント。
セントラルクライシスですね。
そして、クライマックスへ向けて展開される物語は、前半とは別の意味の怖さを描いてました。
同時に人の優しさや弱さといった面も。
後半は純文学な印象を感じました。
作者様が仕掛けた全編にわたる仕掛けには、感服しました。
そして、作者様が信じている、「物語というものが与える強さ」にはとても共感します。
大賞なのも納得でした。
小説を書く人へ、ぜひ一読をおすすめしたいです。
(2)成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)
強烈な個性の主人公の成瀬あかり。
彼女に関わる登場人物からの視点で描かれる、彼女の行動が惹かれます。
シャーロック・ホームズが変わった人物であると、ワトソン博士が読者に示していく形といえば分かりやすいでしょうか。
物語の起伏は緩やかで、地元愛に溢れたエピソードが短編連作な形で並びます。
地名、施設、企業名など固有名詞がふんだんに出てくる作品は、久しぶりに読みました。
コロナ禍の影響も描いていますね。
青春小説のジャンルなので、若者たちのらしさ溢れる出来事が描かれています。
同時に、時代が流れていってしまう寂しさ、ノスタルジックさも。
その魅力が、多くの人に本作が受け入れられた要素なのかな。
二作目も読もうと思っています。
今回はここまで。
読んでくださり、ありがとうございました。
【追伸】
「雨のち晴れの事件簿」は、明日(9/1)から「魔女」に関わる新章に突入です。
カクヨム公式レビュー付きの面白さ。
異能バトル現代ダークファンタジー長編です。
https://kakuyomu.jp/works/16818093075238027740