作中で、「交渉する」シーンを書きました。
――難しかったです。
登場人物同士が、それぞれの意見を戦わせるわけです。
両者が、自分の意見を通そうと、相手を納得させるような台詞を言うわけです。
「相手を納得させる台詞」って、なかば、説明……。
書き方にも依るのだと思うけれど、台詞が長い!
相手に従いたくない、相手の気持ちを曲げたい、と両者が考えるものだから、「ああ言えば、こう言う」の応酬!
そして、それは、読者が「その通りだ!」と納得できるものでないと、白々しい。
何故なら、読者が納得できなくても、作者は自分の思惑通りの「こっちの言い分が通る」という展開にできてしまう。
けど、それをやったらお終いだぁ……なわけで。
そんなわけで、苦労した渾身の「交渉」回!
ここは、かなり頑張ったと思います!
『di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881135517 第八章 交響曲の旋律と
1.真白き夜明け-3
を、明日、土曜日、朝7時ごろ更新します。
よろしくお願いします。
※第一部完結まで、毎週土曜日朝7時ごろ、定期更新です。
近況ノートは、朝寝坊してもいいように(すみません)、前日に上げておきます。
以下、恒例の執筆裏話「制作ノート」です。
(少しネタバレを含むため、スペースを空けます。
本編のあとにお読みください)
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制作ノート
「舌戦……違った。交渉術」
今回こそ、ルイフォンがメイシアの父親と対面、という展開……にはなりませんでした。
すみません!
でも、凄く「ルイフォンらしい」回になったと思います。
他のどのキャラクターでもなく、彼にしかできない華麗な交渉術を披露してくれました。
――と、今、書くのは楽ですが、ここ、何度も何度も何度も、ボツ原稿を重ねています。
交渉に失敗して、シャオリエに鼻で笑われるパターンもありました。
その原稿を、いつも添削してくれている友人氏に見せたら、
「ルイフォン、何、言ってんの?
それじゃ、シャオリエに馬鹿にされて、当たり前じゃん?
そんなの、誰も読みたくないよ?」
と、【私が】鼻で笑われました……。
(交渉というよりも、あの稿は「泣き落とし」に近かったからなぁ……)
ルイフォンが普段の五割増しくらい、格好良くなっているのは、友人氏のせい……いえ、おかげです。
そんなわけで、このエピソードでは、ルイフォンは完璧なヒーローになっています。
とはいえ、交渉そのものは失敗なんですけどね。「メイシアに勝る価値はない」ということで。
そして、メイシアの父が目を覚ましました。
来週に続きます。
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おまけ。
前回のエピソードの補足です。
「ミンウェイが『捕食者』『非捕食者』という言葉を口にしていますが、過去にそんな話が出ていましたか」という質問を受けました。
はい。出ていました。
過去にミンウェイと〈蝿(ムスカ)〉が言っています。
けれど、もう凄く前のことなので、「もしも、気づいた人がいたのなら、その人は隠しキャラを見つけたようなラッキー(?)な気持ちになれるかな」というくらいのつもりで入れました。
ミンウェイ → 第一章 1.舞い込んできた小鳥-3
(メイシアに向けた、ミンウェイの台詞)
「私は、貴族には、ふたつの人種があると思っているわ。ひとつは、自身のために手段を問わない『捕食者』。もうひとつは、か弱くて善良な『被捕食者』。凶賊が手を組むのは、前者のタイプの貴族よ。――そして、あなたはどう見ても後者ね」
〈蝿(ムスカ)〉→ 第三章 3.怨恨の幽鬼-1
(〈蝿(ムスカ)〉の心情の地の文)
〈蝿〉はメイシアの気配を探った。必ず近くにいるはずだった。あの小娘は、お上品なタイプの貴族の娘に見えた。身分の低い者を虫けらのように扱う『捕食者』ではない。愚かなほどにどこまでも善人で、彼のような者にとって非常に好都合な『被捕食者』であると。
第三章3-1の時点では、ミンウェイと〈蝿(ムスカ)〉に何かの繋がりがあることは書かれていません。その次の、第三章3-2で、〈蝿(ムスカ)〉という名前にミンウェイが動揺することで、何か関わりがあることが分かります。
なので、第三章3-1の時点で、〈蝿(ムスカ)〉に「捕食者」と言わせたのは、ミンウェイと関係があることをそれとなく示す伏線(のつもり)でした。(次の回で明らかになるだけなので、これも気づいたらラッキーという程度で)
〈蝿(ムスカ)〉は、ミンウェイに、人間について教えるときに、「捕食者」「非捕食者」という言葉を使った、という設定です(どこにも書かれていませんが)。彼女の幼少時の環境を匂わせる言葉、というつもりでした。
でも、誰も気づきませんよね?