おかしい……今回から完結後にまとめてではなく毎話更新毎に近況ノートを書こうとしていたはずなのに……。
次回から努力します。やります、と言っていないのがミソ。
「紅袍賢人」の解説と裏話です。
例の如く、ネタバレにご注意ください。
■おそらく本作発の表現
ぷりぷりしていても焼餅一つでコロッと態度を変える蘭香。実にちょろいです。
さてそんな蘭香の変わり身の早さを「変臉」と表現しました。これは京劇の一種で、一瞬にして演者が面具を入れ替える伝統芸能です。
一子相伝の秘技として伝えられているのだとかなんとか。
さすがに初見ではわかりづらいかな、と思いつつ。中華風味を出せないかと思って入れてみました。勝手な推測ではこんな表現は本作が初じゃないかな、なんて。
多分、今後もこの表現は使うと思います。
■紅袍賢人・李客とは
今さら隠し立てすることでもないので公開しますが、紅袍賢人・李客とは李白の父親です。資料にも記載のある名です。
そのため一見すると常識人で落ち着いた人物なのですが、実際には悪戯好きで人をからかい、また敵に容赦しないという李白と似た部分があります。
李白が科挙を受験できなかったのは胡人であったからとされています。となれば、当然父親である李客も胡人です。そもそも「李客」とは「よそ者の李」の意味なので。
……しかしあまりそれらしい容姿の描写をしていなかったなぁと、公開後に気づきました。目は青いし髪も赤みが入っているはず。
■ただの趣味です
「なぜそんな場所で戦うのか」
アクション映画ではそう言いたくなるようなシーン、結構あると思います。
今回は「椅子の背もたれの上」「天幕にぶら下がった状態で」というトンデモなシチュエーションで戦ってもらいました。
後者についてはエアリアル(Aerial silk)というスポーツ(あるいは芸術?)をイメージしています。
高い位置から二枚の長い布を垂らし、それをよじ登ったり身体に巻き付けたりして技巧を競うようです。サーカスなどではさらにスリルを出すため、急降下してから布の締め付けのコントロールによって急停止したりも。
どちらもそんな状況になった理由をそれらしくつけていますが、どうしてそんな場所で戦わせたのかと問われたなら、答えは単純です。
「面白そうだったから、なんとなく」
……イラスト担当には「アホかw」と返されましたよ。
■蹴り技しか使えない縛りプレイ
一体誰がこんな設定を考えたのでしょうね。私か。
「紫陽高弟」「妄実邂逅」そして今回「紅袍賢人」とで技を披露した元林宗でしたが、おそらく多くの方が気づいていたでしょう。――こいつ足技しか使わねぇな、と。
その謎が今回明かされました。すなわち、元林宗の師・胡紫陽は両腕が不自由なのでした。
不自由と言っても通常生活には問題ないレベルで、ただし突きを繰り出したり攻撃を受けたりなどの武芸はできない状態です。
……手刀の一振りで物断ってたやんけというツッコミはなしで(←おい)。
しかし上半身の技が伝授されていないことに指摘されるまで気づかないとは、もしかすると元林宗君はアホなのでしょうか。私が言うなですが。
ともあれ、今作ラストにあった通り、以後元林宗は拳法掌法も備えた「スーパー元林宗」となって再登場します。
今からパワーインフレしないかどうか心配です、私。
■蘭香、衝撃の事実
蘭香の母親は「月影玉兎」にて登場していますが、父親についてはこれまで一切の言及がありませんでした。
それが突然、最終節で明かされたわけですが……どうでしたか? 驚きました?(キラキラした目で)
紅袍賢人が口にした「兆望」の名は、「天衣無縫」にてすでに登場しています。
江湖三侠の最後の一人、白衣聖人の本名として。
つまり――蘭香は本当に英雄の血を引いた選ばれし家系だったのだよ!(ナ、ナンダッテー!
……まあ、本人がそれを理解していないのですけどね。
■次回予告
次回の題は「岷山隠棲」。
李白ご一行と、また新たな人物の登場回です。
乞うご期待!