ガーベラ会戦11月9日、午後七時頃の状況
カンナギ・キョウスケ中隊がケイマン軍総司令部から、帝国軍総司令部まで帰還した頃の状況。
日は既に完全に没している。
ケイマン軍第二軍団は、第一軍団司令部が崩壊した時点で直ちに撤退を開始。
それ以前に帝国軍に対する攻勢を中止していたため、撤退は容易であった。
帝国軍も、第二軍団に対しては追撃しなかった。これは、第一軍団残余の包囲殲滅を優先したためである。
ケイマン第二軍団はケイマン商隊の仮設村を経由して北方のヘロン河渡河点に向かう。
第一騎兵旅団の半分がこれに同行した。
ケイマン第一軍団だが、第一軍団司令部が崩壊した時点で、最前線で指揮を執っていた第一軍団首席幕僚が撤退を決定した。
彼は、周囲の統率可能な部隊だけを率いて撤退する。
この集団は第三軍団の後方まで一気に後退した。
第一軍団司令部周辺で再編成に入っていた部隊は、半数以上が戦死、あるいは帝国軍の捕虜となった。
動ける者は第一軍団最前線の残余と共に第三軍団の戦線に退避しようと殺到した。
ケイマン第三軍団は帝国軍の反撃を食い止め、第一軍団敗残兵の収容に努めている。
メハン川東岸のケイマン軍も撤退を開始している。
第二軍団からは北方に退避するよう指示されたが、彼らは南方への撤退を選択した。
第201歩兵師団が渡河に使用した船団が南方に残されており、それを利用する予定である。
ヘロン河西岸のケイマン第四軍団はまだ、情報が入っておらず、動いていない。
帝国軍右翼は、ケイマン第二軍団の追撃を諦め、ケイマン第一軍団の残余を蹂躙。
そのままケイマン第三軍団後方への進出を狙っている。
ケイマン第一軍団の残余は帝国軍モーラン旅団、タルフォート旅団らに包囲されている。
帝国軍ではクロスハウゼン旅団だけが後方に残っている。
これは消耗が激しいためである。
クロスハウゼン旅団では第一魔導大隊(ジャニベグ)だけが、臨時総司令部として前に出ている。