07-15M02 ヘロン市救出作戦
バフラヴィー以下、第十一軍司令部による作戦案を示す。
旧街道を西進し、旧街道のメハン川渡河点でメハン川を渡河。
そのまま、旧街道を直進し、ヘロン市に至るという簡便な作戦案である。
部隊を分派して陽動にするなども考慮されたが、それを行える能力がないと考えられたため、単純な攻撃案となっている。
旧街道は、ケイマン軍駐屯地からは、森と丘陵で遮断され、直接視認は出来ない。
夜間行軍を行うことにより、更に視認性は低下する。
勿論、ケイマン軍が偵察部隊を出していないはずはないので、攻撃を完全に隠蔽するのは困難だが、少しでも敵の行動を遅らせるのが目的である。
メハン川対岸の敵軍は連隊規模の警戒部隊と考えられる。
先鋒のミッドストン旅団の半分の規模だが、川向うで、しかも標高も高い位置で待ち構える形であるから、奇襲効果が得られたとしても、難航は必至と、バフラヴィー以下は計算している。
メハン川をうまく突破できた場合は、そのままヘロン川北岸を西進し、ヘロン市内から突出してきた第一軍と合流する予定である。
ヘロン高原の尾根、最も標高の高い部分がヘロン市から東に延びており、それの陰に隠れることで、ケイマン軍主力から進撃を隠蔽する。
また、ヘロン市との交通路を維持するに際しては、この標高の高い尾根部を陣地として利用する。
メハン川の線を越えられなければ、あるいは超えたとしても難航した場合は、攻撃は中止の予定。
メハン川を順調に超えたとしても、尾根部陣地の維持は数時間、恐らくは二時間以下と考えられる。
最善の場合でも、救出できるのはベーグム師団本隊程度と考えられている。
ただ、一時的にでもメハン川を超えられれば、ヘロン市から突出したベーグム師団先鋒と、バャハーンギール公子を救出できるのではないかと第十一軍司令部は期待している。