※ちょっとだけバイオレンスな内容が含まれますので、元気ない方は読むのをお控えください。
「最近、けー子変わったよね」
妹のあつ子が言う。
「?どこが?」
「精神的に安定してると言うか」
それじゃあまるで今まで精神的に不安定だったみたいじゃん。あつ子曰くネガティブなことを言わなくなり、気分のムラがなくなり穏やかになったという。そういえばそうだなあ。
無職を経て、ついに働き始めて2週間。「どこ行っても地獄、どこ行っても地獄…」と念仏のように唱えて就職したが、まさかとても穏やかに過ごしている。
新卒で入った会社の社長は2代目で、機嫌が良ければこれでもかというほど褒めて甘やかすが、機嫌が悪いとすぐ怒鳴った。「おまえは幼稚なんだよーっ!!!」と社会人にもなって幼稚だのなんだのと怒鳴りまくられ、びくびくしながら生きていた。会社のみんなも怒られまくって、びくついて、そうなるとみんな怒られたくないのと同時に、そういう感情的な態度を出すことが普通になって、どんどん怒りっぽくなっていった。
暴力を受け続けると暴力を振るうことに抵抗がなくなってくる。よく虐待の連鎖というのがあるが、まさか自分でもこんなに環境に影響されて変わってしまうなんて思わなかった。今でもカッとなって火が付きそうになる心を必死に抑えて生きている。
最後仕事をやめる時は「両親の育て方が悪い」とまで言われ(大きなお世話だ笑)、訴えるようなことをほのめかされた(もちろん辞めるのを訴えられるわけがない)。最終的に職場で総スカンを食らい、がりがりに痩せてしまった“らしい”。らしいというのは、このころの記憶が今も全くないからだ。家族の話によると骨だったそうだ。ブルックみたいに生きていたんだろうか。
ここまで書いたら恨んでるのか、と思われるかもしれないが(まあ文章にしてこうかいしているわけだしね、誤解されても仕方ない)、恨むのは疲れるし時間がもったいないので、恨んでいない。ただ麗香や他の人が仕事で傷つくのを見たくないと思っている。だからわたしのしくじり体験談を今回書いてしまった。気分を害してしまったらごめんなさい。
わたしが転職する時にすごく考えたのは「仕事では人が変わる」だ。はじめ見た時の社長もほがらかで、めちゃくちゃ褒めてくれる人で、自信の全くないわたしは特別にしてくれる存在に強く惹かれた。でも蓋を開けてみれば、ジェットコースターのようなバイオレンスな日常が待っていた。だから、就職・転職を考えている人には、「職場の雰囲気が良さそう」とか「人が優しそう」とかそういう移ろいやすい部分で決めない方がいいと思う。
職場はまさにガチャだから、それでも失敗することもあるかもしれない。迷わずやめろ。我慢して消耗する必要なんてないのだ。我慢して傷ついて、そこに待っているのはあなたが傷物として扱われてしまう未来だ。残酷だけど、心に傷を負った者に社会は優しくなんてない。
今とりあえずびっくりするぐらい、穏やかに過ごしている。まず上司が怒鳴らない、そこがすごい(?)。ほかにもフレックスタイムなので遅刻する心配ないし、スニーカーやジーンズも含め服装自由、予定をみんなで共有するなど、自分の苦手なことが克服されている。わたし、転生でもしたのかと思ったほどだ(トラックにはねられたか?)。
とりあえずわたしが言いたいのは今一宮は穏やかに過ごしてますよということ(いつまで続くかはわかんないけど)、つらいなら逃げ出したっていいんだよということだけだ。わたしの屍をどうぞ超えていけ。