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ごとうびには銀行が混むからねえ

って言葉はたぶん生涯俺を縛り続けるんだと思うんですね。と言っても別に辛い思い出でも暗い思い出でもなんでもなくて、たぶん幼稚園年長か小一の頃、祖母と夏休みかな、銀行に行って金を降ろしてから遊びに行きましょってなったときに、たぶんお盆が関与してると思うがめちゃ混んでて、でそもそも銀行の機能というものをさして知らないので、だから、たぶんその時の俺は「なぜにこったらつまんなそうなところに人が殺到するのか?」って意味合いで「なんでこんな混んでるの?」的なことを尋ねたんだと思うんですね。

その返事が表題でして、「ごとうびは銀行が混むからねえ」で、この返答が当時の俺にはガツンと来たんですね。

説明するまでもなかろうが説明をしておくと、だいたい勤め人の給料というのは5のつく日か10の倍数日に支給されることになってて、まあ25日とか多いですよね。
5・10日でごとうび、ですよ。

そいでまあ、二十五年前も既にほぼ給与は銀行振込になってたと思うが、まあその振り込まれた金子を降ろしに行ったり、手渡しだったら振込に行ったりするので混むとそういう理屈である。

俺はでもその、そういう理屈以前、銀行ってのはそも何する場所かってことを尋ねたわけですが、祖母はまあそりゃ長く生きてますから当然銀行というのは金子の貯蓄等をする場所で、かつ勤め人の給与はここに集約され、その日付というのが5・10がつく日に設定されやすい、ということを知ってて回答したわけですよ。

この断絶、っていうと俺が祖母と仲悪いみたいなんでそういうこっちゃぁなくて純粋なこの知識間格差、すごくないですか?

いや大してすごくないっていうかこちとら生後六年かそこら、向こうは五十とかなんだから当たり前なんだけども、そんときすごい衝撃を受けたんですよね。

なんていうんですかね。1を聞いて10を知る的な感じっていうか、確かに質問の答えとしては成立してるじゃあないですか。でもこちらは前提知識がないから答えの意味がわからない、でも先方としてはそこが前提知識であるのは当たり前だよね、ってなってる感じの取り残されたゾクゾク感というか。なんかうまく説明できないな。うーんと、ちょっと違うんですけど、ストーブの裏に埃溜まってるだろうなーと思ってちょいと棄てようと思ってたパンツとかで拭き取ってみたら、信じられないくらいグゥィットグゥィトの煤かこれ? みたいな濃厚な埃がとれちゃった時みたいな。「えーーーこんなにあんのーーー!??」的な。

だもんで、20日30日5%OFF(これは歌詞か?)とか聞くともうダメなんですよ。うわあ超絶ごとうびじゃんか、って凄い思っちゃうんですね。イオンにはイオン銀行もありますから、もう足の踏み場もないのではなかろうかって感じになる。

別にトラウマとか恐怖とかそういうことではなくて、「あーごとうびだなー」ってしばしば思うということです。でも無意識にごとうびに銀行寄るのは避けてるかもしんない。まあこれは単に俺の給料日が5・10と関与してないからかもしんないけど。

で今日は5/10なので、より強く思うとそういうことなんですね。別に思わないようになりたいということではないが、さりとてずっと思い続けたいと強く願ってるわけでも当然ないので、でも思ってしまうんですね。ごとうびだな。銀行が混むな、って。

特にオチはありませんね。いつものことです。

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