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喋ることは思いつくこと

 4つクイズを作りたいと思っていた。クイズ大会をやるんだ俺は。

 1個は完成。
 2個目もほぼOK。
 3個目については、これは「方向性」だけは分かっていて、何をどうするかはまだ決まっていないが、まあきっとできるだろう。俺は自分を信じている。

 で4個目がね。どうしよっかなあ、とずぅっと思っていたんです。
 一個は、「窓の外の景色を使う」という要素を入れたいということを漠然と考えていた。でもう一個、「モノをいろいろ集める要素」はもう一個くらいあってもいいだろと漠然と思っていた。ただ肝心のクイズが思いつかない。

 もうどうしようもないから、適当に集めてきたパーツを合わせると漢字クイズかなんかが浮かび上がってくるとかそういうので、おいてく感じのやつでいっかなァ、なんて半ば諦観にも似た気持ちでいた。

 で今日。運営側と打ち合わせをして、この会議が若干盛り上がった。

 とは言え、実を言うとこの「運営」については、リアル脱出ゲーム未経験なんですな。買い出し担当。美術担当っていうか。一回行けとは言ったのよ? でも忙しくてリームーみたいな感じで、まあでもやることをやってくれればそれで良い。ってなわけで、やることを伝達して。つまりクイズについて喋っているのは俺一人なわけです。それ本当に盛り上がっているか? ううんとぉ……俺はね……俺は盛り上がってましたよ……。

 でもまあそういう感じで、だから先方からのアイデアは期待できない。俺がだだ喋るだけなんだけども、でもですね、そうすると不思議なことに、頭の中で素材が組みあがっていくんですな。

「まず一個目はこれこれこういうクイズだから、このファイルをこういう感じで印刷してくれ」
「はい」
「で二個目はこれこれこういうことにしようと思っているから、とりあえずこの素材を買ってきてくれ」
「わかりました」
「それからラストでこれを使うから、こういうのを買ってあとダイヤル錠ね」
「これ箱ってトランぺットのケースとかでもいいです? だったらあるんですけど」
「そ、それだァ~~~! いいよ。で、あと三個目はまだ内容が未定なんだけど、こういうものを使うことは確定してるからちょっとこういう感じで試作品をお願い」
「はい。え、プリンターってA5どうやって印刷するんですか」
「紙入れてA5指定すりゃあできるよ……試してみろよ……」

 的なことしか言ってない。

 有名な課題にこういうのがあって、
「あなたは医者です。今あなたの目の前には、悪性腫瘍がある患者がいる。この腫瘍はある強度の放射線を当てれば消失することが分かっているけども、その強度の放射線を当ててしまうと他の臓器にも影響が出る。さりとて、他の臓器に影響が出ない程度に微弱な放射線を当てるだけではその腫瘍を除去することができない。手術は無効。さあどうする」
 って言われても、いや知らんがな、どうせ死ぬなら一か八か当てたろか放射線、って思うだけだと思うが、
「あなたは軍師です。今あなたの目の前には籠城している敵軍の城がある。この城に1万の軍勢をぶつければ落城可能ということは分かっているけども、残念なことに城に至る道は細い山道ばかりで、1万の軍勢を一気に送り込むことはできない。で、例えば1000とかをなんとか細い山道から送り込むと、こいつらは各個撃破されてしまうだろう。ただ、山道はぐるり城を取り囲んで10本くらいはある。さあどうする」
 って言われたらですね。後半は簡単じゃあないですか。ようは、10本の道に1000人ずつ配置、しかるのちに狼煙かなんかをあげて、みんなでせーので進軍すれば城に到達するのは10000人になるので落城できる。ということは? そう。他の臓器に影響が出ない程度に微弱な放射線を、その腫瘍部分に集中するように多方向から当てれば、腫瘍を壊滅せしめるに足る放射線量を確保できる、ってことが分かる。

 全然関係ない、というほど関係なくはないが、まあ違う話なんだけど我々には類推能力というものがあるので、違う話を同じ話にすり替えて考えることができる。

 でも上の話を振り返ってもらうと、別に「他の謎」に対するヒント的なことは一切出てないんですよ。でもひらめいたんですよね。アッって思った。まあクイズ自体の解説がややこしいんですが、窓の外に結構特徴的な看板があるんですよ。で、形と接続部に特徴のないパネルをいくつか用意しておいて、特徴的な看板の色味に合わせることで解を一意に規定する、というクイズを思いついたんですけど、これとは全く関係ない話をしていたんだけど、「これとさー、これを使いたいんだよね。例えばね」って喋ってたら天啓が来た。一人でうんうんうなって、あと散歩とかにまで出たのに全然思いつかなかったことがだ。

 ということを考えると、やっぱ「まず書いてみる」「そうすると自然につながる」ってのあるな、大事だな、って思うので、久々になるかちゃんのやつを書き始めましたという報告です。アップまではもうちょっとかかるかもしれませんが、はい、書いてます。つながるといいなと思ってます。一応結末はちゃんとあるんですよ。そこにどうつなげるかなあ、ってずっと悩んでたんですが、まず手を動かすことやなって思ったんで、動かしていますということです。
 あと皆さんお忘れだと思うんで、ちゃんとこれまでのあらすじも書こうと思うので、その際はよろしくお願い申し上げます。

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