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It's automatic.

 宇多田ヒカルが復帰したらしい、という話を聞いて思い出したことがある。

 雷波少年、という番組の企画で、Something ELseという音楽ユニットが曲を作り、オリコン何位以内かに入らないと解散、という過酷な状況でラストチャンスという曲を作り(結構いい曲だと思います)、見事オリコン『2位』に入って解散を免れた、ということがあった。どうも2006年に解散しているらしいが、とにかくその場は盛り上がったのである。

 それはいいんだけど、その時俺がびっくりしたのは、オリコン『2位』だったことで、1位はなんだったかというと、宇多田ヒカルの「Automatic」だったんである。
(確か。誰こいつ、となって、凄い驚いた記憶があるので、間違ってないと思うが、結構マジで調べないと出てこないので、全然違ったらごめんなさい)

 雷波少年は――ひねくれた俺が一生懸命見ていたくらいだから――当時の学生には大変人気があって、大変な社会現象とでも言うべき番組だった記憶があり、その時の俺はまあ、「へえ、2位か。凄いな」くらいしか思わなかったけれど、ようするに特に何事もなければSomething ELseを1位に押し上げるだけの力は持っていたと思う(繰り返すがラストチャンスはいい曲ではあるのだ。それに加えて、番組による周知の力があったよねということだ)。にも関わらず、宇多田ヒカルは1位をもぎとっていった。

 ただ思い出しただけであって、ここから何か教訓――たとえばある程度の実力はあるけれども、宣伝によってその実力以上に上位に上がる人間がいたとしても、より力がある人間はより上位に上がることができ、なんだったらそれを上回る、であれば宣伝と目されるようなことはしなくてもいいのではないか、とかそういう陳腐なこと――を引き出そうとは思わないけど(俺はルール違反でない限りなんでもやればいいと思う人間であるし)(宇多田ヒカルだってたぶん宣伝は打たれていたんだろうし)、このことは大変鮮烈に覚えており、だから力がある人間が、こう、なんか、見出されていく瞬間を見ると、ヒュー! 世界! 捨てたもんじゃあねえな! と思うのである。

 そう、世界はまだ捨てたものではない。今週もあと3日(土日も仕事? 知らんがな。頑張ってください。俺は一般論として言っている)、頑張りましょう。

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