「料理名を告げると鍋にそれが転送されてくる『食料伝送土鍋』というアイテムがある」
「……うる星やつら?」
「それを使って各々が食べたい物の名前を言うんだけど、転送されるたび次々に料理は鍋の中で混ざっていって、ごった煮状態になってしまう。それでも何とか食べ物のテイを成しているところに、錯乱坊のとどめの汁粉がすべてを台無しにしてしまう。そんなオチだったと思う」
「混ぜるな危険……という奴ね。確かに刺身と牛丼にラーメンを混ぜたとしても、まだ何とか食べれそう(?)な感じはあるけど、そこにおしるこが加われば完全に崩壊するわね」
「そうなんだ! そこで俺は気づいたんだ。もしかして俺の小説にも汁粉が混じってるんじゃないか……とね」
「…………」
「『ソウル・フェイト』は下地となるファンタジー定番の魔法だけでなく、科学に超能力、果ては霊魂までが登場し、現実世界とのリンクや神や生まれ変わりにも深く踏み込んだ、かつてないごった煮感を創り出している。そのどれが汁粉に該当するのかは、正直俺にも分からない。よもや効果的に散りばめられたギャグが不協和音を奏でてるとは思えないし――」
「って、それっ!」
「えっ?」
「それ、それ、それ~! そのギャグが汁粉に決まってるでしょう!?」
「……やっぱ、そうだよね。ただ、リストアップしてみると、中身もなんだかとりとめのない印象がある。自分的にストーリーの整合性はとれてはいるんだけど……」
「あなたの感想はともかく、そんな考えに至ったのは、あまりギャグやコメディのない二章以降のストーリーが、思いの外読める物語だと思ったからでしょう? だから、そこまでの道筋を完全に閉ざしている一章の構成を、なんとかしないといけない。そう思ったんじゃないの?」
「そうなんだ。『トゥルーエンド』があるからどこまでできるか分からないし、少し先の話になるかもしれないけど、可能な限り頑張ってみるよ」
「……一章のラストを変える気はないわけね」
「あの内容は個人的には気に入ってるんだ。あれだけはできれば受け入れてほしいと思ってる。ところで、題名に全くそぐわない中身になってるけど大丈夫だろうか?」
「ああ、あなたが読み専にクラスチェンジしたという話?」
「って、クラスチェンジしてないから! 今後も俺は二刀流。もちろん読むけど、書くのもやめない!」
「書く方の刀はボロボロだけどね」