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【独白】中期代表作『オウムアムアの涙』という“失敗”

 前期「綾波宗水」作品の代表作と言えば『リアルヤンデレに建前はない』である。これはおそらく読者の方々も認めるところかと思う。

 先日、私は近況ノートに作品性としての「中期」が訪れたのでは?と書いた。その特徴としてはヤンデレにしても、SFにしても、評論にしても、その根底には何かしらの問題提起が含まれている点だ。

 内容が重複するのは避けたいので、前期・中期の線引きはそこまでにしよう。『リアルヤンデレ』は代表作と言ったが、前期の中では投稿は早い。
そしてそれは、中期に入ってすぐに代表作と言うべき題材を得た『オウムアムアの涙』にも言える現象だろう。

 しかし、両者には決定的な違いがある。
 それは、『リアルヤンデレ』がありがたい事に今でも読み続けられ、ついには累計閲覧数も4万7千回を目前にしていることだ。

 だがしかし、『オウムアムアの涙』はそうではない。60回程度な上に、最新話付近は読まれてすらいない。ここに、中期たらんとする部分を垣間見せる。

 個人的に『オウムアムアの涙』はSFという体系をとりつつ、言うなれば私小説でもあり、今日只今の綾波宗水そのものを落とし込み、その上で問題提起に対する回答を試みる、という哲学書的な構図である。
 だからこそ、ヤンデレによるラブコメディとはかけ離れた世界観となっている。
 
 そしてそれは、PVが示すように、個人的な、あまりに個人的な関心の完遂に他ならないのだ。
 だがしかし、本作の完結を迎えた時、綾波宗水は新たなる境地へとたどり着くことは、あえて宣言せずとも、もはや自明の理ですらあるだろう。

 それは、私の作品を“すべて”読んでくださった方のみ、共有できる大いなる感慨である。
 惜しむらくは、今のすべてが注がれているのに、読者の手元には流れない、という現状だ。……この近況ノートでさえもまた。

※綾波宗水(作)イラスト『海転』

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