本作の主人公は、ジョン・レノンを殺害した男。
彼がニューヨークにジョンのサインを貰いにはるばる訪れたところから、物語は始まる。
その様子はどこまでも身近で、僕自身、彼と同じように、何か一つのことに陶酔するタイプでもあるため、
彼が異常な状態に陥っていてもなお、単なるシリアルキラーよろしく、自分とはかけ離れた存在であるとは思えなかった。
つまり、ファン・オタクの一側面として、いくつかの要素がそろった時、僕もまた、彼のような凶行を起こしかねないという事だ。
案外その差は、心酔している度合いが僕自身それほど異質ではない、つまり、対象へそれほど深入りしていない、という僅かな差に過ぎないかもしれない。
僕のバイブルとなる本が未だに出逢えていないからこそ、新たな書籍に手を伸ばし、そして創作し始めたとさえ言えるのではないだろうか。
それはややもすると、僕がひたすらヤンデレを“ヤンデレ的な度合い”で執筆している事もまた、一つの表れかもしれないが、
とにかく僕は、自分の遺物、昇華されたものとして、今後も執筆に励む所存。