啓蒙主義には正否がその時代によって変わり、そしてまたそれを「主義」として単一化できるか否かも議題に上がる。
啓蒙主義とは、人間科学(人文・社会科学)であり、人間についての探求を目指したものという。
哲学者(philosophes:仏語・フィロゾーフ)を自称した彼らは、人間と、そして神のもとでの自然における人間の位置について時代遅れとなった宗教的な「神話」を妥当し、客観的な事実にもとづく、真の科学的な知識によって置き換えた。
しかしそれは、「キリスト教」的神話から、「科学」的な神話へと置き換えたとも言えるが、啓蒙主義の遺産は、教会の教理という目隠しからヨーロッパの精神を解放したことであった。
※著:ロイ・ポーター。岩波書店「ヨーロッパ史入門」シリーズ