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『ジョン・ロック 神と人間との間』読了

本書の冒頭にあるようにジョン・ロックは、「17世紀に身を置きながら18世紀を支配した」天才である。

本書では彼の生い立ちから、いかなる事由が思想家たらしめたのか、そしてその思想についてまとめた新書である。

読んでいてふと感じたのは、昨今の「好きな事を仕事に」や「オタク」の在り方はえてして「専門家」的と言える。

しかし、17・18世紀の啓蒙思想家が育まれた土壌というのは、それまでの知識は貴族と教会の独占物であり、そしてそれは宗教信仰によるものであった。

しかし、農業革命・産業革命に至る前夜であるその時代には、古典だけでなく、科学が台頭してきた時代であり、それまでの司祭や現代のオタクが専門家・スペシャリストなのに対して、
啓蒙思想家たちはジェネラリスト(総合)なのである。

それに彼らは生来のキリスト教徒であるのだから、宗教に哲学に政治など、実に多方面の知識を取り込むことによって、初めて啓蒙という形で社会に還元する事が出来たのだ。

啓蒙(enlightnment)とは、無知を理性の光で照らす、古典保守ではなく各々が考える事を目指す思想。

専門家であることを目指すことは素晴らしいことだが、それにこだわりすぎると、あたかも天動説や魔女狩りを固持したかつての教会のような過ちを犯す可能性がある。

啓蒙思想家ディドロなどが『百科全書』を編纂したり、博物学が盛んになったかつての時代を我々は時々思い出すことで、
個々人の中で、フランス革命やアメリカ独立戦争の如き革新が可能となるのだ。


・人間の条件のなかに固有の位置を占める信仰と「政治的統治」とに関連して、人間がそれらの固有性をともに維持するために現世における神への義務として服するべき生の規範を提示することが、寛容論が政教分離の理論形式を通して表出しようとした思想。

〇学問の三区分
①フィシカ:それ自体の固有のあり方にあるがままの事物、その構造・特性・作用についての知識(自然学)

②プラクティケー:善き、そして有用なものごとを達成するためにわれわれ自身の力能や行為を正しく用いる技能(倫理学)

③セーメイオーティケー:事物を理解し、事物についての知識を他の人に伝達するために精神が使う記号の本質を考察する(記号論・言語学)

※著:加藤節。岩波新書

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