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お風呂屋さん

 年末に、ウチの給湯器が壊れた。
 いろいろ忙しいので、修理屋さんには来て欲しくない。
 簡単にお湯を使えなくなった。加味して工夫しようか。食器洗いなら水でも良い。
 ところで、風呂はどうする?
 それは大丈夫。近所に銭湯がある。たまたま、そういえばと、子供の頃に通っていた銭湯が今どうなっているのかな?とか調べたら、とっくに廃業していた…。
 ともかく銭湯に行ってみた。
 やっぱり料金は前払い。
 変わっていない。
 さすがに料金は高くなってたけど。
 片隅に積み上げられているカゴを持ち出して服を脱いで替えの下着も入れて、バスタオルで覆って浴室へ。
 浴槽へ入る前にきっちりと身体を洗い、石鹸の泡もがっちり洗い流す。1ミクロンも残していないぞ!
 あまりにも久しぶりなのでここまでは緊張していたけど、浴槽に浸かって一息入れてみれば、子供の頃に観ていた風景と何ら変わったことはなかった。
 ここの地区は銭湯が有るのが当たり前なのだ。
 ここに来る人は皆ンな顔見知り。お互いに楽しげに身体を洗い流し合っている。
 ああ、そうだったっけな。
 私も長年ここいらに住んでいるのだけど、ウチ風呂派だったから、ここの人たちからしたら新参者だ。
 でも、「あ。銭湯スタンプラリーのヤツか」と思われたらしく、特にどうということも無く受け入れられた。らしい。
 昔も、よそ者だからといって何があったという訳ではなかった。その当時子供だったから、そう思うのかも知れない。
 ちょっと熱めの湯に浸かりながらあれこれ考えを廻らしてみた。
 あの当時の大人だったらどうしたのだろう。
 見知らぬ人を見つけたらのなら。
 積極的に話し掛けて、まんまとコミュニティに入れ込んでたな。
 うわっ、うぜっ。今ならそんな感想になるんかな。
 でも、地域の人付き合いに無理やりでもぶっ込まれてみると、周りの誰も彼もが気に掛けてくれるから、孤独死なんてことは起こらないんだよね。
 ある時期に皆がマイナスばかり見て、プラスを考えなかったから、今はこんなんなっちゃったのかな。
 でも、まだ、遅かぁないわな

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