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夢だな。夢だろう。

 昨夜、ふと眼が覚めた。
 何かが左の二の腕辺りを掴んでおる。
 独り暮らしなのだから、そんなことは有り得ない。
 見ると案の定、肘から先が5㎝位しかない中途半端な腕が私の腕を掴んでいる。
 恐くないかと言えば、そんな事も無いが、それよりもコイツは一体どうなっておるのじゃ?と、切り口を見たいと思った。確認してやろうと、ぐうーっと首をめぐらすと、相手は小癪な事に、そうはさせまいと肘を曲げる。
 私はバラバラの人体なぞ怖くない。確かに気持ちは悪い。
 が、対象が生であった場合の具体的な感染症の方がずっと怖いし、それに私的には虫の方がそれの350万倍以上怖い。なにしろアイツ等の行動は絶対に予測不能だし、姿もキモい。
 昔、会社の同僚の女の子が“子供の頃に特大のゴキブリを踏み殺した”と言う話を聞いて貰い泣きをしてしまった。
 彼女は回想しただけで、「あの時ね、ブチって音がしたの!ブチって!!」と、勤務中にわあわあ大泣き。私も貰い泣きしておる。
 当時の上司は男性だったので、内心ドキドキしながらも黙認してくれたらしく、お咎めは何も無く済んだ。
 話を戻して、肘からチョイ上までしかない腕に舌打ちをしていたら、窓の外からもうひとつ方手の平が差し込まれてくるのに気が付いた。
 それは、「マネキンの手?」。それもやっぱり肘位までしか無さそうだ。
 認識したら、またパッと目が覚め、半端な腕もマネキンの腕も消えていた。
 ああ、夢か。
 まだ朝早い。うとうとしていると、耳元で若い女の子の声が何かを言って、びっくりして眼が覚めた。
 出勤時間にはまだずいぶんと間が有るけれど、どうもこれから二度寝も出来そうにない。
 じゃあ、びったりと停止して先に進まなくなったひねもす堂の展開を考える。
 止まったと言う事は、どこかで道を間違えている。
 どこじゃどこじゃ、自分で書いているから文面は記憶している。
 何度も辿ってみて、ようやく見つけたかもしれない。
 中途半端な腕のお化けよありがとう。
 どう考えても夢だったような気がするが、とりあえず、礼は言っておく。
 それにしても、私には霊能力は無いから、成仏したいのだったら、手前で努力しろ!
 以上。
 でもさ、今時だから閻魔庁にもコールセンターとか設置されていて、成仏相談ダイヤルとかありそうだよね。しかも0120じゃなくって、ナビダイヤルでさ。
 そう思うと、チョイ面白♪。

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