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その昔聞いた話

 あるところに、心霊現象大好き娘が生息していまして、西に100kmババァが出る!とか、或いは東に最恐の事故物件があると聞けばすぐさま馳せ参じて現場検証をすると言う女の子でした。
 実は私の妹の友達なんですが。
 いつも犠牲になるのは彼女の父。
「お父さん、○×道の駅のソフトクリーム超美味しいみたいだから、あたし、食べてみたーい!」
 たいていは夜の11時を回った頃に急に言っていたらしいです。
 ヤバイよね?
 まずフツーに時刻が変。
 しかし、彼女のお父さんは、最愛の娘のおねだりに相好を崩して応じるのだそうでした。
「じゃ、今から行くか!」
「ヤッホー、お父さん大好きー♡」
 お父さんは益々嬉しくなって、娘を待たせることなく急発進で、地獄に落ちて行ったみたいです。
 夜道をドライブしていて、サイドミラーをふと見ると、四つん這いのお婆さんがピッタリくっ付いて猛スピードで伴走してくるのに気がついた。
「うわあぁああああああーーーーっ!!?」
 娘は大喜び。
「きたーーーーっ、すっげ早ぇえ、きゃーッ♡マジだったんだぁ」
 すげぇすげぇ感動している娘。
 一方、お父さんは必至です。何しろ彼は、やらせ満載のTVの心霊番組すら超苦手。そんな恐ろしいものは一切嫌じゃという人。
 じゃ、観なきゃ良くね?なんですけど、それ以上に、彼はひとりになるのが恐い。
 んで、妻や娘がきゃぁきゃぁ言いながら楽しいでいる心霊番組が見えないように固く目を閉じて、耳も塞ぎつつ居間に居続けたようです。
 このお父さん、毎回毎回娘の策にいちいちハマッて、百発百中に大変恐ろしい目に合っているみたいでした。(妹の話によると)
 その娘さんも、望んだ怪現象を100%目にして大満足らしいです。
 私はその手の話が好きなので、動画検索するたびにこの話を思い出して、つい、笑っちゃいます。
 実際に会った事も無ければ、一生、どこかですれ違っても分らないような「お父さん」なんだけど、めっちゃ、プリティ過ぎ。

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