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死別ブロマンスを書いて欲しいR! 個人的PU10本その2(終)

 草森ゆきさま主催の自主企画『死別ブロマンスを書いて欲しいリターンズ』(https://kakuyomu.jp/user_events/16818093078423711258)が無事終了いたしました。開催の草森さま、ご参加された皆様、お疲れさま&ありがとうございました!
 自作はこちら→くちなわなしと、よろこびの肉(https://kakuyomu.jp/works/16818093078654894264
 で参加しております。身長2m、口裂け女が現役の時代に人間をバリバリ食べる、口裂け男が活躍するごちそうさま死別ブロマンスです。

 参加作84本中、レギュレーションを充たしていると思われる81作(自作除く)すべて読ませていただきました。
 前回の個人的ピックアップはこちら→(https://kakuyomu.jp/users/Ankhlore/news/16818093078898808142
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面霊気(https://kakuyomu.jp/works/16818093078927552491
「なぜかまったく似ていない人間と間違われ続ける」という、ユニークな怪異によって出会う二人の大学生。
「不可解だが害はそこまで深刻ではなく、何なら対処療法をし続けて日常の一部になりそうな異常」というレベルの怪異って、それを当たり前としてしまった時、傍から見るとゾッとするものになるんですよね。被害者もまた怪異の一部になるというか。
 そこまでシリアスではないですが、面霊気ものそういう案配の怪異な所が好きです。


わたしが愚かになってから(https://kakuyomu.jp/works/16818093078477847332
 ストレートに強く、凄絶で、美しい一編。
 すべてのエピソードがインタビュー記事仕立てで、映画監督と俳優の二十年が描かれる死別ブロマンス。確かな筆力によって紡ぎ出される「映画監督」と「俳優」という人物の質感と、短いやり取りで両者の人物、重ねられた時の流れを感じさせる作者の地力に脱帽させられます。そして何より、最後の一文。ぜひ読んでいただきたい。

いいおじいさんと悪いおじいさんのその後の話(https://kakuyomu.jp/works/16818093079125676186
 昔話でお馴染みの二人で死別ブロマンスをやる、という着眼点が驚き。話によっては悪いおじいさん、死んでいますしね……。
 どっこい悪いおじさんは生きているのですが、じゃあいいおじいさんは? というお話なんですね。このおじいさんが形こそは口汚く、いいおじいさんのことを語るくだりが良くてね……。おっと、これ以上教えちゃソンだ!

錆化粧(https://kakuyomu.jp/works/16818093079230182126
 現代異能バトルっぽい世界観で、異能者の男が、牢に居た人外を檻に入れて戦うバディ。この二人の話、中編ぐらいの長さで読みたいっ! と思いました。
 檻、そんなに物置いたら狭くない? という愚問がよぎりましたがさておき。
 固有の人物名すらない二人なのに、軽快なバディアクションが見えるようで。もっと! もっとそういうのちょうだい! とツボを押さえている感じが堪りません。
 そしてタイトル回収の下りは、それまでのシーンとは異なるしっとりした空気感……。

雪山奇談(https://kakuyomu.jp/works/16818093078870371412
 何回も言っちゃうんですが、肉に噛みついて血をすするって行為に色欲が完全共鳴するんですよね。
 人名的にチベットやブータンあたりを思わせる雪の高山地帯を舞台に、高僧と人喰いの鬼・羅刹が出会う物語。ここに仏教や前世の業といった背景が繰り広げられ、奥深さを与えてくれます。最後に現れた二人は、はたして現世を生きる人間だったのか……。羅刹の真意は……など、色々考え込んでしまいます。

天国と天国ではなくどこでもないどこかについての一考察(https://kakuyomu.jp/works/16818093078617327220
 登場人物の置かれた状況が酷すぎて、胸を抉られた一作。そんなことってあるかよ……。紫陽花を見るたび思い出すような、とても印象深い作品です。
 年上のいとこが亡くなり、彼との交流を思い出しながらバイクを走らせるというシンプルなストーリーなのですが……。ある一点から、二人のやり取りがまったく異なる色彩で見えてくる。その鮮やかな転変と、事実の凄まじさが読者の心を掴むことでしょう。

無題(https://kakuyomu.jp/works/16818093079705782112
 無題、〆切ギリギリだからタイトルをつける暇がなかったのかな……? そんな第一印象を抱きませんか? だが本作はまさに『無題』というタイトルが相応しいのです。その理由はぜひ本編で確認していただきたい。
 また、本作には科挙が出てきます。大河ドラマ『光る君。』主人公が憧れた、テストに合格さえすれば誰でも官吏貴人となれるシステム……その実、凄まじい競争率で受験者は幼いころから勉強漬け、そのため家は多額の金をつぎ込み、発狂する者もいたという過酷な受験戦争です。その、天元!! 主席合格者が! あああ……
 本筋ではないのですが、科挙について知識があると、楽しみが増すのではと思います。いえ、知らない方が雑味がなくて良いかも……?

殻と筋肉(https://kakuyomu.jp/works/16818093078750230192
 1500にも満たない短さながら、強烈に二人の絆を叩きつけてくる一編。
 人類が入植した火星と、そこにいるタカアシガニを思わせるクリーチャー。彼らと戦うため、人類はロブスターと揶揄される強化外骨格を着込んで戦うのであった……というSF背景が無駄なくストーリーと融合しています。
 強化外骨格、好きなんですよね。主にゲーム・ガンパレシリーズのウォードレスからなんですが。
 くり返される一人称が想いの強さを叩きつけてくれて良い作品でした。

ロマンチスト・エゴイスト(https://kakuyomu.jp/works/16818093079036448445
 いや~~~~~~、完璧でしょ、死別ブロマンス。
 のっけから強い言葉を使ってしまいましたが、四つのエピソードすべてに驚きの結末が待っていて、最後まで読者を離さない構成・81本読んできてありそうでなかった設定と、その活かし方がもう凄いんですよね。
 死別ブロマンスに、まだこのシチュエーションがあったか! という驚きと、それを最大限利用して描かれる二人の絆、思い合う心、突きつけられる選択……。
 二人には幸せになって欲しかった……うう……。

パンケーキと、起きないお前(https://kakuyomu.jp/works/16818093079074844700
 幼なじみの二人が迎える死別。死因のクセが凄いんですが、そこも含めて故人の味になっているのがまた巧い。「起きない」も生前の行動とかけてあって、全編に渡ってリフレインがかかっていて、生前と立場が逆になるという構図が美しいです。
 いやこんだけ語るのも野暮かなとは思うんですが、「良い」のでつい……。
 私は食欲異常個体なので、食と絡められると脆弱性が高く、そこも胸を突かれてしまうお話でしたね。素晴らしい。パンケーキはお早めにお召し上がりください。
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 以上、第二弾ピックアップでした! 次回はもうないです。
 10本に収めようとすると、かなり選択に迷ったのですが……やはり数を絞らないと、これから作品読もうという方も困りますしね。
 Twitter(X? 知らんな)の方では「#しべぶり」タグで、全作品に1ツイートで感想を述べておりますので、ご興味ある方はどうぞ。
 それでは皆さま、良い死別とブロマンスを~!

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