• ホラー
  • 異世界ファンタジー

ネタバレ注意◆『ついぐなの人魚は血を泳ぐ』参考文献一覧

 因習村で父親を名乗る三人組の殺人鬼男性といっしょに祟りに立ち向かう長編ホラー『ついぐなの人魚は血を泳ぐ』
https://kakuyomu.jp/works/16817330650757697792
 で使用した参考文献です。

■引用
『聖書』日本聖書協会(1987年発行)
 ご存じ人類史上最大のベストセラー。55年改訳版(※聖書は色んな翻訳のバージョンがあります。新しめの新共同訳は言葉遣いが平易になっていて、創作で引用されるような厳めしい文章ではなかったりする)。父の持ち物なので年季が凄い。
 クソ分厚いので読むのは大変ですが、同協会は聞く聖書とかも出しています。

『カウ』ジャック・ケッチャム&ラッキー・マッキー(扶桑社ミステリー)
 やべえ男がやべえ野生女を飼おうとしてやべえことになる話『ザ・ウーマン』収録の短編(というか後日談)。作中の台詞を八津次が引用しています。

『文学の四季』饗庭孝男(新潮社)
 文学批評本。後述の『インセスト幻想』内で、宮沢賢治の詩『永訣の朝』に言及した箇所が引用されているので、孫引きにならないよう確認のため目を通しました。
 読み物としても普通に面白いです。

 KOBAI『BLOOD OVER WATER』(アルバム『MISADVENTURES』収録)
 鴉紋さんが39話(みそあまりここのつ)で引用した歌詞。検索性の低い名前のせいか、ネットであまり情報を見かけないけど好きな曲です。

■父親が三人?
『オー!ファーザー』伊坂幸太郎(新潮文庫)
 映画にもなったミステリー&ホームドラマ。
 父親が四人いる高校生の少年を主人公にしたお話。「パパが複数いる作品を思いついたなら読まなくちゃな」と購入しました。映画は配信がなくて困った。

『ファイ 悪魔に育てられた少年(화이: 괴물을 삼킨 아이)』チャン・ジュナン監督(ナウフィルム)
 五人組の強盗犯罪集団〝白昼鬼〟に育てられ、犯罪技術のことごとくを叩きこまれた少年を主人公にしたノワールアクション映画。
「お前(主人公)だけいればいい……」という湿っぽい執着とか、「パパが悪かった」と言いながら落下鉄棒串刺し死する人とかが良かったです。

『屋根裏に誰かいるんですよ。: 都市伝説の精神病理』春日武彦(河出文庫)
 Twitterでバズった例のあれ。

■民俗学とか心霊のあれこれ
『神道祭祀の伝統と祭式』沼部春友 (著), 茂木貞純 (編集)(戎光祥出版)
『祝詞必携』小野迪夫, 金子善光(戎光祥出版)
『新神社祭祀行事作法本』沼部春友 (著), 茂木貞純 (編集)(戎光祥出版)
 過去作の参考文献一覧で紹介した祝詞関連の本は、今回も使用しましたが割愛。いつもありがとう戎光祥出版さん……祝詞って難しいね。
 行事作法の本は、本当に「作法」について書いているのですが、小説で描写するには余分な情報過ぎたので、知識だけで留めておくのがいい感じでした。
 でも人魚供養祭のやり方や描写には参考になりました。

『シンスポ 心霊スポット写真集』コヘイ(監修)(東京キララ社)
『日本の民俗 祭りと芸能』芳賀日出男 (角川ソフィア文庫)
『秘境旅行』芳賀日出男(角川ソフィア文庫)
 写真集。特に芳賀日出男さんの作品は白黒ですが、古い時代の日本が映し出されていて、異界へ誘われる心地です。口寄せをするイタコさんが「神仏の顔」をしている様を活写した一枚など必見。

『人魚 (ものと人間の文化史)』田辺悟(法政大学出版局)
『人魚伝説』ヴィック・ド・ドンデ (著), 富樫瓔子 (翻訳) (「知の再発見」双書)

■近親相姦と性虐待関係
『インセスト幻想―人類最後のタブー』原田武 (人文書院)
『近親性交とそのタブー〔文化人類学と自然人類学のあらたな地平〕〈新版〉』川田順造, 青木健一 , 山極寿一, 出口顯, 渡辺公三, 西田利貞, 内堀基光, その他(藤原書店)
『子どもの性虐待 :スクールカウンセラーと教師のための手引き』石川瞭子(誠信書房)
 近親相姦はタグに入れていないのでややネタバレなのですが、このへんの話はテーマとして軸をなす根幹なので手を抜くわけにもいかず、色々読んだ次第。
 ただ言っていることが種本そのままな箇所もあるので、おいおい修正とか……したいな……。改めて調べると、一般的に流布しているイメージと実態は乖離していることが実感されます。とはいえ、出版からしばらく経つので、現在の状況とはまた変わっているかもしれません。

●滋賀県資料
『ええほん 滋賀の方言手控え帖』中山敬一(淡海文庫)
『近江の古民家: 素材 意匠』石川慎治(淡海文庫)
『近江の年中行事と民俗』橋本章(淡海文庫)
『湖国の祈りとそのかたち』滋賀県教育委員会事務局文化財保護課(淡海文庫)
『琵琶湖里山ふるさと散歩』今森光彦、今森洋輔(新潮社)
 地元のことでも、調べないと意外と分からないものだなあと思い、知らない土地より資料が増えてしまいました。方言帖がめちゃくちゃ助かる。

■陶芸
『はじめての陶芸入門―基礎から楽しく学べる』岸野和矢(主婦の友ベストBOOKS)
『やきものの教科書: 基礎知識から陶芸技法・全国産地情報まで 』陶工房編集部 (編集)(陶工房BOOKS)
 八津次が陶芸家になったので、窯のこととか焼き物について参考にしました(もう一冊買ったけど読む暇がなかった)。

■その他
『警察白書 令和3年版』国家公安委員会警察庁

4件のコメント

  • 連載お疲れさまでした。
    終わりに向かって怒涛の展開に、本当になんど『は?( ゚Д゚)』
    となったか分かりません。

    訳わからないままにレビュー書いてしまって、もっとこう、
    上手い具合に魅力をアピールできる内容が書けるようになり
    たかったです。

    レビューにも書きましたが、なんやかんや言って、お父さんた
    ちのあの生き様、賛否あるでしょうが私は好きです。

    そこ曲げてくれよ……と思ったりもしましたが、妥協しないこ
    とを貫いたあの生き様は、本当に、凄かったです。

    これからまた雨藤作品ロスになってしまいます。
    と言うか、読者選考期間を勘違いして、期間以内に評価付けら
    れなかったことが、とても後悔しています。すみません。

    雨藤さんの次の作品も楽しみにしています。
    では、長々と失礼しました。
  • 橘紫綺さん、いつも作品をお読みいただきありがとうございます、ハートやコメント、とても励まされております。そして今回は丁寧なレビューまでいただき、五体投地の境地です!
    星の方は読者さんのパッションなので、そこはお気になさらず~。

    お父さんたちは「殺人鬼」なので、因果のつじつま合わせはしたかったんですよね。曲げてくれよは例のアレだろうなと思いますが、譲れない一線でしたね……。

    今後は近況ノートでついぐなの妖怪図鑑と後書きを公開しつつ、九月締め切りの横溝に参加致しますから、新作はそれに合わせることになりますね。合間に短編とかもやれると良いのですが。

    あとすみません、完結詐欺になりました……ついぐな、四千文字のボーナストラックが……あります!
  • 今、ボーナストラック見て来ました!
    ちゃっかりお仕事にしてるし。なつかしい顔が現れるし(笑)
    師匠って、誰なんだろ? もしや刺青の人? とか思ってましたが、出て来ない(笑)


    そして、ええ。例のアレ。です。
    でも、あそこで曲げなかったからこそ、私はあのお父さんたちのことが好きです。本当は曲げて欲しいですけれど、何ですかね、この矛盾する感覚。でも、その譲れない一線はとても大切だと思いますので、むしろ、やってくれてありがとうございました。

    妖怪図鑑楽しみにしています。
    本当にいるの? と説得力あり過ぎですから。
    こうして新しい妖怪が生み出されて行くのですね……

    横溝参加。頑張ってください。応援しています!!
  • いえーい、最後までありがとうございました!
    辛いシーンではありますが、ああいう軸を貫き通してこその三人でしたね。自分がこういうことしたらこうなる、ということを彼も覚悟の上でやりましたので。互いに納得尽くという。
    お師匠は作中でちらっと言及された「古車」さんで、実は〝こうべれ〟をぶちのめした人です。詳しくは図鑑に似て!
    後書きも書き終えたし、がんばります!
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する