赤橋英時は、九州における歌壇の世界を牽引しており、多数の和歌が勅撰和歌集や、「松花和歌集」、「臨永和歌集」、「続現葉和歌集」ら私選和歌集にも掲載されているのですが、「臨永和歌集」と「松花和歌集」には、北条英時(平英時)の名前共にに、”平守時女”なる女性の名前が出てきます。彼女の名前は、「新拾遺和歌集」にも、”平守時朝臣女”として出てきており、その和歌の説明を読むと、「平英時にともないて西国に住侍し事を思い出て」と書かれており、彼女が西国にて、英時と共に過ごしていたことがわかります。
守時・秀時の姉妹には、登子・種子の他に、北条一門である北条貞規(彼は一三一九年に若くして亡くなる)の妻がいます。今作では、若くして夫を失ったであろう彼女を、”平守時女”ということにしました。
参考文献
(2008)『中世歌壇史の研究 南北朝期』井上宗雄 明治書院 pp315~pp322
(1981)『中世九州の政治と文化』川添昭二 文献出版 pp174~pp175
(1925)「新千載和歌集 ; 新拾遺和歌集」(『二十一代集』第九巻 大和田五月, 藤倉喜代丸校訂) p546