九十九　那月

病院で目を覚ました私は、ある病気によって、これまでの人生というものを全て失ってしまいました。 代わりに手渡された、過去の私からの手紙。それは「人生」というものの代わりというには、…

たとえるならこんな、どこにでもよくある話のように。

某所でちょくちょく書いている短文を元にした短編集です。 息抜きも兼ねて不定期に更新します。

現代に生きる『魔女』の、等身大の日常。

「六月の天気は、まるでお転婆な女の子のように移り気で」——『紫陽花に愁う』 移り気な季節に乗せて描き出す、そんな一瞬のお話。

ただ思いついたことを書いていくだけの、短編集のような何かです。 それぞれ独立した物語になっているので、お好きなところからどうぞ。

「晴れた空が好きなんだ」 空を怨めしそうに見上げる君を見て、ふと思うこと。

磯城冬哉・明野瑞希・夏樹晃生。中学生の時に知り合い、そのまま大学まで変わらずずっと一緒にいる彼ら。しかしその胸中では、それぞれがこの関係に対する疑問を抱いていた。 クリスマスの…

いつも通りの帰り道、不意に彼女はそう口にした。

空気よりもずっと薄く、そこに『いない』ことだけが唯一、彼女が生きていくための手段だった。 そんな彼女は、人生の終焉を前にして初めて自らの空虚さに対面し、そして一つの『災い』を遺す…

大学二年目の春。目標を見失った僕の夢の中に、一人の女性が現れる。 『あなたの視覚を、貸していただけませんか』 彼女は、僕にそう告げた。 それが、僕らの奇妙な関係の、始まりだった…

殺してあげる、という彼女の声に誘われるように、男は一人、夜の街を彷徨っていた。 頭の中に浮かんで何故か消えなかった、そんななにかを形にしました。