人生に疲れ切った男と、難病の女子高生の出会いを描いた作品。
男は、入院先の病院で、少女と同室になる。最初は面倒で少女の問いかけにも無反応だった男に、少女は言う。
「そんなに死にたいなら、私が貴方を殺してあげる」
それぞれ手術に臨んだ男と少女だったが、男は目覚め、少女は……。
世界の片隅で、誰にも何にも興味がなくなり、死を望んでいた男。世界から疎まれていた少女。少女が残したあの言葉通りであるならば、男は死ぬ機会を永遠に失った。だからあの言葉は、死を望んでいた男にとって、「希望」ではなく「呪い」なのだった。
かくして男はあてのない旅に出る。
そして、少女との再会に男は――。
死を巡る話だが、暗さは感じなかった。むしろ、男が少女に影響されていく姿は優しい感触があった。
是非、ご一読ください。