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【見聞備忘録】二〇二三年 十月

Q. すでに十一月も折り返していますが?
A. ここで止めたら自己嫌悪材料が増えるでしょうが。

■ 書籍
久保明教『機械カニバリズム:人間亡き後の人類学へ』
:村田喜代子『新古事記』を読んで「ノンモダニズムじゃん」と思ったので積読していたこれを消化。人間-機械の二項対立ではない世界観の説明のために、日本将棋界の棋士たちへの聞き取りなどをもとにした論が紹介されている。藤井八冠爆誕前に書かれたので「動揺しないAIのように」などのくだりは非常に興味深い。
このあたりをうまく扱って小説にできたらいいのだが、私では力量が全然足りない。

■ 音楽
CHAI『CHAI』
:セルフタイトルアルバムの一曲目が「MATCHA」なことからもCHAIが世界を股にかける気概に満ちているのが分かる、とか難しいこと言わずに聞くのがよい。

PAS TASTA『GOOD POP THE REMIXES』
:なにがgood popじゃ、と呆れるほかなかった本家を国境を越えてさまざまなクリエイターが破壊しまくっているリミックス版。本家をどこかのジャンルの末尾に配置するならばやはりhyper popな気がするので、six impalaの登場は妥当なのだがぺんぺん草も残らない圧巻の破壊ぶりだった。はじけろPAS TASTA!

秋山璃月『サルライター』
:おれは閃光ライオット(未確認フェスティバル)出身者のシンガーソングライターに弱いことがこれで確定してしまった。

Ed Sheeran "Autumn Variations (Fan Living Room Sessions)"
:mathematics projectを終えて、母国を代表する作曲家エルガーのエニグマ変奏曲になぞらえて自分を取り巻く人々を思いつつ、秋という季節に捧げられた曲はどれも美しい。"+"をリリースする前は一年のうち300本くらいライブをしていた、という彼の過去にリンクするようにファンの自宅で(まじか)レコーディングされたアコースティックverも心地よい。

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