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偶然先生の偶然講義 の巻

先生:という訳で、前回の講義で言ったように、いきなり「知らない町の図書館に入って本を読んでみる」という行為は、喜ぶべき偶然の媒介者となってくれるのであります。

生徒:先生、質問です!

先生:何かな?

生徒:「知らない町の図書館に入ってみる」……という時点で、偶然との出会いを狙って訪れていることになりますので、それはもう「偶然」とは言えないのではないでしょうか? 

先生:うーん、確かに。

生徒:いわば、普通の交通事故は「事故」ですが、狙って当たりに行くのは「当たり屋」では?

先生:いや実は、そのツッコミを先生は待っていたのじゃよ。生徒たちがその点に気づくのを期待した上で、あ・え・て、主張したのじゃ。

生徒:何だか言い訳くさいなあ。急に口調が変わっているような気もするし……。

先生:そんなことはない!先生は、そういう生徒の質問によって、みんなが“気づき”を与えられるような、そんな授業を目指しているのじゃよ。

生徒:ちょっと“気づき”とか“見える化”とか“感謝”とか、そういうことを言いたがる人は苦手だな……。

先生:まだ偶然に慣れていない、ごく普通の人々のための練習として「知らない町の図書館に入ってみる」というソフトな段階を経てもらう……。知らない町は、初心者のための偶然のワンダーランド!誰でも行ける、子供と大人の偶然遊園地!

生徒:まあ、確かに練習としてはいいかもですけど。

先生:そのことによって、偶然との出会いを“見える化”したかった訳じゃよ。

生徒:そう言われればそうなんですけど……。偶然って、そんなにポンポン出会えちゃったら、何だか変じゃないですか?

先生:(何も聴こえていない)その意図に気づいてくれて、ありがとうじゃ!みんな拍手!感謝の輪を広げよう!


他の生徒ら:わー(拍手)!!

他の生徒たち:ヒューヒュー(指笛)!!

他の生徒ども:感動をありがとう(涙)!!!







今回のメッセージ:「都合が悪くなると、変な方向に持って行く先生シリーズ」というのをやりたいです。

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