「読後に余韻が残る」を含む小説

永い永い春休みが終わって、久しぶりに見たあなたの横顔は、既に私と言う存在そのものを忘れているか、さもなければ初めから見知らぬ他人であったかのような表情を浮かべ、私の居場所だった右…

年賀状を好きなあの人にメールで送りたいけど、恥ずかしくて送れない……。久川瑛はだから、親友の古藤海姫に相談する。

葬った心にあなたの姿を浮かべ、想像の中でだけその墓標にあなたの名を刻む。そうして今日、私はあなたを失った。

「どうしてキスなんてするの？」 　乱れ咲いた花火はその火花の最後の軌跡を虚空に描き、闇に溶け入った。月を思わせる寂寥は二人の間に、溶着し一つになれたと一時は本気で思えた、よりにも…

　まるで昨日の続きのような今日だった。 　太陽の日差しも、空気の香りも時間の流れ方でさえまるで昨日の続きのような今日だった。 　だから私は明日もそのまま、今日の延長線上にあるかの…

まだ不自然な所は一つもない。胸が張り裂けそうな程高鳴っている。足も実は震えてる。だからまだ、臆病を理由に引き返すことだって、出来ないわけじゃない。それでも……！

ボクが間違えるたびに、キミはそれを消してくれる。 でも、ボクらは気づいていた。 このままでは、どちらかが先に終わることを。 それでも抗い続けた。 ほんの少しでも、長く一緒にいる…

団地の五号室。そこにはもう誰も住んでいないはずだった。 けれど夢の中で、私は何度もその部屋を訪れていた。 ちゃぶ台、畳、黙った人々、そして──名前のない“あの子”。 日常の中で…