「記憶 写真」を含む小説

母を亡くして三か月、遺品の中から見つけた小さな封筒。そこには古びた鍵と「台所の棚を開けて」という一行が。 導かれるままに開いた木箱の中には、生まれた日からの自分を綴った日記と色あ…

教室の机の数が、いつもよりひとつ多い。 名簿は三十四人なのに、担任は「三十五人そろってる」と言う。 誰も疑問にしないそのズレに、ただひとりだけ気づいてしまった語り手は、プリントの…

まだ私が風景写真を写し始めた頃、若かりし頃のお話です。 そんなこんなで始まることとなった、趣味？道楽？の風景写真撮影ですね。 記憶は思い出は薄れていくものですが、デジタル化し…

台所シリーズ・第3部（全5部）『台所がせかいをかえる』（全11話） ささやかな日常の断片が、過去と未来をつなぐときがある。 ときに、それは、あなたの“記憶の予備”すら超えてゆく…

転校初日、ミカの白い仮面が真っ赤に光った。 「この子は、ウソをつきました」 冷たい宣告が教室に響く。ここは仮面アカデミア――生徒全員が特殊な仮面をつけ、夢についてウソをつけば…

流行りの「4K画像投稿」に興味のない中年男性・葛西だったが、何気なく見た一枚の異質な集合写真に引きつけられる。グレーで塗り潰された顔、色褪せた画面、そして胸に残る奇妙な既視感――…

“ひとひら”の記憶が、ふたりを結ぶ―― これは、忘れたくない記憶の、小さな再生の物語。 事故で最愛の恋人を失った大学生・藤原紗世。 深い喪失の中で彼女が出会ったのは、一…

カメラで風景やふとした人間の姿を撮ることが趣味であり、仕事である泡瀬。カメラは広い広い世界から自分の感性を切り取るもの。それは彼の口癖であった。平日は仕事漬け、休日は趣味としてま…

ララが、彼氏をつくった。 可愛くて優しい親友は、どこか雰囲気が変わっていた。 メイクも、服も、仕草も、全部。 まるで彼氏に合わせて“作り替えられて”いるみたいに見えた。 私は、…

クラスで浮いている自覚はあった。 でも、レンズを通せば――世界は、少しだけ静かに見えた。 高校生・手倉詩歩（てぐらしほ）は、誰にも気づかれないように、今日も写真を撮っていた。 …

ある老夫婦とその息子、そしてその周りにいる方々が、デジタルフォトアルバムの「おもいでばこ」を思い出したり、気づいたりする物語です。

祖母の葬儀後、遺品整理の最中に見つけた、未開封の一通の手紙。 「明日、17時に待っています。」 その言葉の意味を追いながら、祖母が隠していた“ある約束”と、母の存在、家族の形に触…

高校二年の海斗は、放課後の美術室で出会った同級生・ひかりに恋をした。しかし彼女は「強い感情で眠ると、その日の大切な記憶が一つ消える」という残酷な病を患っていた 。 嬉しいほど、…

その生徒の名前は、学園内の記録から消えていた。 存在を示すデータも、写真も、証言すら曖昧で──まるで最初から存在しなかったかのように。 「記録の残る限り、罪は裁ける。」 記録…

蓮見レンは、毎朝起きるたびに「昨日」の記憶を失っている。 彼を支えるのは、クラスメイトの少女・咲良。 彼女はいつも「同じ言葉」で彼を導いてくれるが、レンには彼女のことが思い出せな…

過去を写す力を持つ「夢写師」のルカは、霧梁県の山間の町・久遠木村にある写真館を営んでいる。ある日、黒い狐の面を被った青年・クロが現れ、「お前の写真の中に神の欠片がある」と告げる。…

「おい！ この写真……沖田ひろ子だろッ！？」 母を亡くした少女、ひろ子。 静かに進む黒い葬列。 だが、その静けさを打ち破ったのは―― 一人の男の、叫びだった。 止まっていた…

霧深い山村・黒影村で、22年前に起きた少女の失踪事件。誰にも真相はわからぬまま、村はその記憶を封じ込めてきた。 そして今、同じ場所で再び少女が姿を消す。捜査に訪れた刑事・柚木蓮…

▶「夢写師と黒い狐の廃墟録 ―光と影の記憶譚―」の前日譚 1994年、霧梁県・久遠木村。 霧深い山村に暮らす橋爪チヨは、“魂写機”という特別なカメラで人々の記憶と想いを写し取る…

十七歳の女優・綿貫華澄（かすみ）は、人気と役柄の狭間で「自分」を見失いかけていた。 ひとり訪れた上高地、霧の山奥で出会ったのは、三十歳の風景写真家――彼は何も問わず、ただ彼女の透…