「言えなかった言葉」を含む小説

昨年の夏に言えなかった言葉が、ずっと胸の内で燻っている。 だから今年こそ伝えたいんだ。 貴方の事を、どう思っているのか。

昔、ある女の子を好きになった。 約束もなかったし、大げさな出来事もなかった。ただ、永遠に続くと思っていた瞬間があった──でも、それは終わった。 忘れたと思っていた。距離と時間と沈…

7月7日、ずっと言えなかった言葉を、君に伝えたい。

「4月って、春ですか」 春のはじまり。誰かと話したいのに、言葉がうまく見つからない季節。 高校1年、朝比奈つむぎはまだ"春"を信じきれていない。 同じクラスのはる、想…

東京に、黒い雨が降り続ける。ビル群は溶け、叫び声と爆発音が遠くで響くなか、主人公はベランダで、首を吊った恋人と静かに最後の時を過ごす。 青白い肌の恋人の口に煙草を咥えさせ、燃え…

怖さってなんだろう。夏といえば怪談、こわさって言えば…？で言葉が出てきました。

「ここは夢じゃない。でも、夢のような場所なんだってさ。」 静けさに包まれた夏の夜、黒猫に導かれて私は“あの日”と再会した。 言えなかった言葉と、もらえたひとこと。 過去と現在が…

”OVO”はポルトガル語で卵という意味です。 作者は黄身も白身も好きです！

東京に疲れた元新聞記者は、バイクでたどり着いた山間の町で古民家と出会う。 カフェを開こうと決めたその町には、どこか懐かしい空気と、温かな人々がいた。 そして――偶然のよう…

35歳の春。 夢も仕事も失い、今はひとり、小さなアパートで眠れぬ夜を過ごす日々。 そんな男のもとに、忘れかけていた“彼女の声”が届いたのは、壊れかけのMDプレーヤーと、一本のゲー…

ずっと前からある男の子のことをわたしは見てた。大好きだった。 でも、それは途中で終わってしまった。もう君とも話せない。 だけどわたしは想い続ける。君のことが大好きだから、誰と幸せ…

北の大地よりは暖かく、首都圏よりはずっと寒い地方にある木々の都の一角。 地下鉄駅と大きな森林公園に挟まれた寂しい広場で、彼女は夜ごと、歌声を響かせている。 伝えられなかった想いを…

　 ちかこが見ていたテレビに映ったのは、1度だけ会った男、武山優一。ニュースを見たちかこは50年前を思い出していた。 ちかこが偶然出会ったのは若い頃の優一と元ヤクザの親父さん、…

夜の冷たさが、遠い温もりを洗い流してしまった海辺。 そこには、かつて愛した人の面影を宿す波と、誰のためでもなく光を放つ灯台があった。 孤独とは不在ではなく、むしろ「まだ在る」こと…

詩集4（2021.3～2021.8）

別れの朝、彼女は「ごめん」とだけ言い残して去った。

　この世に終わりがあるのなら、その日はどんな空なのだろう。きっといつもと変わらない曇り空で、いいや、その日はきっと、青が高くて遠い、雲一つない、よく晴れた景色なのかもしれない。 …

「先生が、“先生”じゃなくなる日を、ずっと待っていた——」 美術部の藤村はるかは、静かな放課後の美術室で、美術教師・村瀬に心を寄せていた。 生徒と教師という“名前”に縛られた関…

大学進学を機に一人暮らしを始めた七海は、 アパートの鏡の中に“あるはずのない”少年の姿を見つける。 少年の名は、霧島陽葵。三年前に亡くなった高校生。 言えなかった言葉、届かなか…