カクヨムを読む仕事が忙しすぎてカクヨムを読む時間がない私です。ギャグのようですが、これ本当なんですよ。続きはあとで読もうとキープしておくと、いつの間にか50話くらい進んでいる。それが10、20作品くらいあります。こちらで紹介した作品も今や相当な数に上りますし。未読作品だともっとあります。いつか読みますよ……うん…いつかね。10万字までは短編だから平気平気。そういえば作品をフォローするとマイページから外部に見えてしまうのでエクセルで管理しているんですけど、設定で非公開にできるようになりませんかね? 公式の場を利用して運営に改善を強いる私です。
かつて史上最年少の宮廷魔法士となり世界最強と讃えられた天才アルフレッド。しかし魔法の実験中の事故で職を辞し、今はただの冴えない三十路のおっさん。田舎の村で娘のカレンと親子二人で細々と暮らす彼が、異世界からやってきた女の子を拾う。その地球出身の女子高生・チヅルは亡き妻にそっくりで……。
お人好しのアルフレッド、元気で活発な娘のカレン、そして子供好きなチヅルの三人が次第に家族になっていく様子が微笑ましい。
異世界人が持つチート能力を目当てにチヅルを狙う刺客の襲撃を受けるが、アルフレッドは老いても元宮廷魔法士。多彩な魔術を用いて敵を圧倒する勇姿は、まさに世界最強の面目躍如といったところだろう。
おっさんはおっさんでも、本当は女性にモテるおっさんなのだが、本人ばかりはそれに無自覚で裏では女性陣の熾烈な戦いが繰り広げられている光景も可笑しい。
そして生来のお人好しで面倒事を次々と引き寄せていくのだが、忙しいなかでもチヅルと絆を深めていくのが癒やされるのだ。
異世界の最強魔法使いも女子高生には弱い。女子高生って、最強だな!
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)
異能犯罪者を取り締まる治安維持組織ヒーローアソシエーションの司令官に着任した主人公・東條甚一郎。
しかし一匹狼のエース・赤城に他のメンバーは萎縮して現場のチームワークはバラバラ、おまけに人手不足でチャレンジ精神も低い。そんな問題だらけの現場をまとめる東條の手腕に期待が高まる。
よくある戦隊ヒーローのお約束では、問題が起きても意地と根性で打開したり、強敵が現れても秘密兵器で対抗したりするが、現実はそんなに都合良くない。その代わりにマネジメントの力で解決する設定が新しい。
例えば、「リーダー」と「マネージャー」の役割の違いはわかるだろうか?
そうしたマネジメントの基礎から、3つの要素「自分の管理」、「メンバーの管理」、「仕事の管理」を実践しながら、若い部下の秘めた想いや情熱を描き、次第にプロフェッショナルに成長していくヒーローたちの姿が格好良いのだ。
ちなみに選者の自分はビジネス書の仕事も手掛けているので保証しますが、本作で描かれるマネジメント術は実際に専門書で解説されているものと同様で、実用書として社会人も読める内容になっています。
世の中の管理職の皆さんがヒーローに見えてきます。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)
男子高校生・八坂ヒロは、去年の文化祭で幼馴染・桜木千鶴に告白できなかったことを後悔していた。今では彼女は高校を辞め、人気アイドルとして手の届かない場所へ行ってしまった。未練から日記を告白したことに書き換えると、千鶴と付き合っていることに! 彼女の夢を閉ざした罪悪感から日記を元に戻したヒロだったが、元の世界では千鶴が殺される事件が発生して……。
自分の過去を改変できる「過去日記」を手にした八坂ヒロが幼馴染の少女を救うため、友人と世界を跨いで事件の真相に迫る過去改変ミステリーです。
人間には誰しもやりなおしたい過去がある。主人公のヒロ、友人の秀一と詩織も、一度は過去日記にすがってしまう。しかし修正された世界は思っていた理想の世界ではない。いくら過去を変えても、自分自身の問題は自分で解決するしかないのだ。
過去改変を繰り返して騒動や悲劇に見舞われながらも事件の手掛かりを集め、千鶴の生きる可能性を必死に探すヒロの一途な想いに胸が締め付けられる。
友人関係や家族関係で揺れ動く思春期の少年少女の苦悩と葛藤を描く青春小説です。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)
ゴミ捨て場で生まれ育った少女・レイナが大切な人との別れを乗り越えてアイドルへと駆け上がる姿に感動。
レイナの育ったゴミ捨て場には沢山の貧しい人々が住み着き、お互いに助け合って家族のように暮らしている。豊かな街の生活を知らない悲惨な境遇が痛ましく、それでも周囲に愛されて幸せに生きる純粋さが愛おしい。
しかしある日、大好きな人がトラックに轢かれて亡くなってしまう。失意に暮れるレイナが最後に贈った歌声がネット上に拡散して、レイナの歌姫としての未来が開けてゆく。
広い外の世界で優しい人々と出会い、才能と努力でチャンスを掴んでいくレイナだが、嫉妬や偏見も受けて傷つく。そして再び訪れる大切な人と別れに打ちのめされる。
それでもレイナは歌う。ゴミ捨て場に住む家族と、天国の大切な人へ届けるために。
レイナの人生は絶望と希望の繰り返しだ。物語を通して悲しみ、喜び、怒り、驚き、安心、切なさ、期待……さまざまな感情を揺さぶられ目頭が熱くなる。
一人の少女の幸せを願ってやまない、今年一番泣ける作品です。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)