ラブコメはご飯のようなもの。焼き肉定食でも、さばの味噌煮定食でも、おかずが違っても定食メニューにはご飯が必ずついてくるように、ファンタジーやSFでもどんなジャンルでもラブコメはつけられる。それ故にラブコメは単品では難しいジャンルだ。ご飯をおかずにご飯を食べさせるようなものだからだ。だがラブコメという主食抜きでは物足りない。ラブコメって本当に必要なの? そうした長年の疑問を投げかけてみたのが、今回の青春ラブコメ特集です。みなさんはラブコメ賛成派? それとも否定派? 是非読んでいただいてラブコメに思うところを聞いてみたい。

ピックアップ

青春ラブコメは作れる! 目指せ理想の学園生活構築計画

  • ★★★ Excellent!!!

平凡でつまらない現実を変えるため、青春ラブコメを真剣に目指して奔走する主人公・長坂耕平の情熱に圧倒される。

青春ラブコメを目指す。一見、馬鹿馬鹿しい考えだが、昨今の無気力で恋愛離れの若者と比べたら、なんと男のロマンに生きる馬鹿野郎かと好感が持てる。

理想のシチュエーションを作り出すため、クラスメイトのプロフィールを調査し、イベントに使えそうな穴場スポットをリサーチし、ときにハッタリや手品まがいの手練手管で望む結果を引き寄せる。

プロの探偵か、詐欺師かという手際に毎回驚かされるが、肝心なところで抜けているのがハラハラさせられる。

そこでキーマンとなるのが、唯一、青春ラブコメ構築計画を知る共犯者であるヒロイン・上野原彩乃の存在だ。フィクションを土台にしている耕平と真逆で、現実的な彼女がオブザーバーとなることで物語の安定感がぐっと増している。

ただ、上野原こそが耕平の計画の最大のイレギュラーかもしれない。

青春ラブコメ構築計画がどのように転がっていくのか、この先の展開を見守りたい。

(青春ラブコメ賛成派VS否定派/文=愛咲優詩)

彼女がいないなら作ればいい! アンドロイド彼女は青春ラブコメを夢見るか

  • ★★★ Excellent!!!

彼女のいない男子高校生・西脇馨。いないなら作ればいいと、アンドロイドの「彼女」を作る部活を立ち上げる。ところが入部希望者は何故か可愛い女子生徒ばかりで、魅力的なヒロインたちとの「彼女」制作にかける人間模様がまさに青春ラブコメで甘酸っぱい。

美少女好きな造形マニアの綾駒唯、飛び級入学の天才少女の千木良里緒奈、機械いじりが好きな柏原つみき、さらにアイドル顔負けの美少女・朝比奈花圃がモデルに名乗り出て、これ以上ないドリームチームが結成される。

制作費を稼ぐために動画投稿をしてみたり、理想の「彼女」に相応しいおっぱいの大きさを議論したり、学生らしく試験期間中は誰かの家で勉強会をしてみたり、夏休みは合宿にでかけたりと、なんだか「彼女」を作る前に彼女ができそうな和気藹々とした空気が癒やされる。

そうして完成した「彼女」は、高性能なAIを持って誕生したために人間に近い人格を備えていて生まれたばかりで常識のない「彼女」が、さらに波乱を巻き起こす。

理想の「彼女」よりも大切すべき存在はもっと身近にいるのかもしれない。

(青春ラブコメ賛成派VS否定派/文=愛咲優詩)

恋愛至上主義の学園をぶっ潰せ。恋愛偏差値底辺の恋愛相談室

  • ★★★ Excellent!!!

非モテの代表である男子高校生・日ノ陰縁と、学園一の美少女だがモテすぎるあまりに恋愛嫌いになった恋中いろは、正反対の二人が結託して学園に蔓延する恋愛賛美の風潮をぶち壊すアンチ恋愛学園ラブコメ。

「童帝」というPNで恋愛批判を訴える主人公・日ノ陰縁は、アンチ恋愛を掲げる思想家だが、ヒロインの恋中いろははアンチ恋愛テロリストともいうべき強硬派で、その過激ぶりに苦笑い。

恋愛賛成派であっても、恋愛に夢中になって周りの迷惑を顧みないバカップルは、眉を顰める存在だろう。そんな自分勝手なリア充に立ち向かわんとするのが痛快なのだ。

自分たちの支持を集めるため、生徒の恋愛相談に応じるのだが、経験豊富にみえて恋愛経験ゼロな恋中のポンコツなアドバイスを、非モテな日ノ陰がフォローしていく姿が愉快だ。

共犯者として結託しながら、異性として魅力的すぎる恋中に恋をしないように必死に自制する日ノ陰の葛藤がニヤリとさせる。

恋愛の素晴らしさだけでなく、嫉妬や執着といった愛憎の醜さも描き出した作品だ。

(青春ラブコメ賛成派VS否定派/文=愛咲優詩)

美少女ヒロインに嫌われろ! 最新VR美少女ゲームが神&クソゲーすぎた!

  • ★★★ Excellent!!!

美少女ゲームは萌えキャラクターよりも、感動させるストーリーを重視する少年・神山ケイトが、最新のVR技術を使った美少女ゲームの攻略に挑む。

しかし、その美少女ゲームが、とんでもない神&クソゲー!

甘えん坊な妹キャラに健気で一途な幼馴染キャラ、お淑やかなメイド美少女、ぶりっ子な後輩キャラなどなど、さまざまな性癖のユーザを対象にしたヒロインを備え、ラブコメの王道やお約束を踏襲したストーリーで、ある意味で神ゲーなのだが、ありとあらゆるご都合主義の連続で胸焼けしそうになる。

特定ルートに入らないよう、すべてのヒロインの好感度を下げたいのに、どんなに嫌われる行動を選んでも好感度が上がってしまうお節介仕様が攻略を難しくする。

鬼畜クールぶっているケイトだが、ゲーム内のキャラクターといえど可愛い女の子を相手に非情になりきれず、手心を加えてしまう隠れたお人好しぶりが微笑ましい。

なんとか苦労して一人のフラグを折っても、次々と新たなヒロインが登場してきて、まさに無間地獄。

これ一作で、ラブコメはお腹いっぱいです。もう美少女だけは勘弁してください……。

(青春ラブコメ賛成派VS否定派/文=愛咲優詩)