不気味な闇に包まれた駅から主人公が電車に乗り込み、そこで蛾を見かけたことをきっかけに、車内の様子が少しずつおかしくなっていく……そんな一編です。車両の様子が少しずつ変容していく描写に、身の毛もよだつ思いで読み進めました。不穏な空気の中で異常が増殖していく展開が非常に印象的で、読み終えたあともしばらく蛾を見るたびにこの作品を思い出してしまいそうです。私自身も、この作品に引き寄せられた蛾の一匹に過ぎないのかもしれません。不気味な読書体験を味わえる一編でした。
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