冒頭に「警察」や「人だかり」など物騒な単語が並びますが、美容師である主人公の行動を通して、主題を回収する円環構造である一編です。認知の歪みが生む違和感を抱えて迎える終盤で描写される鋭い皮肉が込められたオチには思わず、手を止めてしまいました。この物語を覗き込んだ私自身も、集客されてしまったお客さんの一人なのだと思いました。
新たな一歩を踏み出したものの、契約やテナントの問題、思わぬトラブルに翻弄されるさまは、誰もが共感できるリアルな苦労を感じさせます。そして、想像を超えるラスト。主人公の未来を想像したくなる、皮肉たっぷりの一篇です。
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