たった千字ちょっとの作品なのに、学校の楽器庫という日常空間に怪談を落とし込む精度が高いです。誰も使っていないホルン、そのベルに入れた右手を“誰か”が触る、というルール説明の時点でもう怖い。しかも友だちの軽い語り口が逆にリアルで、学校の噂話っぽい温度が恐怖を底上げしています。大げさな演出をせず、“ありそう”の延長でぞっとさせるタイプの短編ホラーとしてとても強かったです。
元吹奏楽部員としてその発想は無かった。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(116文字)
――ホルンという楽器を知っていますか?ホルンは左手でキーを押さえ、右手を「ベル」の中に置いて演奏する。主人公が通う高校の吹奏楽部に、「お化けホルン」と呼ばれるホルンがある。そのホルンを吹くと、ベルの中で誰かが右手を触ってくるのだという。「小さくて指のほそい、たぶん女の子の手なんだって。先輩が言ってた」その先輩は一向に気にせず、お化けホルンを愛用していたらしい。お化けホルンは、とてもいい音が鳴ったそうだ――高校の音楽室。吹奏楽部。並んだ楽器。淡々と綴られつつ、臨場感あふれるブラスバンド・ホラー。お楽しみください。最後まで。
もっと見る