第7話 同じ傷

―玩具リユースショップ パート勤務 木崎さん(仮面)の話―

 

 ある日、木崎さんが買取をしたおもちゃの中に、今年の誕生日プレゼントで息子の響輝ひびきくん(仮名)にあげたものと同じ、特撮ヒーローの変身ベルトがあった。

 「新しおもちゃなのに、この人はもう売っちゃうんだ。確かにきれいな状態の方が高く売れるし、いいのか。響輝なんか乱暴に遊ぶから傷だらけだもんな」

 新品同様だったので高い買取金額がついた。

 翌日、木崎さんはその変身ベルトを売場のショーケースにディスプレイするために箱を開けた。どうも違和感がある。新品同様だったはずなのに、ベルトのバックルや帯にあきらかに無数の傷やメッキ剥げがある。

 「おかしいな。見落としたかな。でもこんなに大きな傷見落とすはずかないけど」 

 木崎さんに気付いたことがあった。

 「この傷の付き方、響輝のに似てる・・・」

 響輝くんがベルトを放り投げた際にぶつかってできたバックルの傷や、ベルトを振り回した際に切れかけた帯など、似ているというより響輝くんのベルトそのままだった。

 「なんで・・・」

 そのとき店舗の電話が鳴った。出ると響輝くんが通う幼稚園からの緊急連絡だった。響輝君が園庭の遊具から落下して病院に運ばれた。木崎さんはすぐに早退して病院に向かった。命に別状はなかったものの、落下時に歯で舌を噛んでしまい、舌が半分裂けてしまう大けがだった。

 

 数日後に出勤したときには、変身ベルトは元の新品同様の状態に戻っていた。

 それ以来、木崎さんは自分の家にあるのと同じおもちゃを職場で見かけた際は、何か違和感がないか身構えてしまうそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

中古にまつわる怖い話と奇妙な話 夏の月 すいか @8929549

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画