概要
和歌として結晶化される前の、生々しく、あまりに、あまりに「重い」情念。
歌人たちが三十一文字という狭い檻に、その魂を閉じ込める、ほんの「一刻前」。
彼らは絶望し、激しく恋をし、そして、溢れ出した余計な言葉をすべて捨てた。
墨が紙に染み込む直前、確かにそこに息づいていた、
瑞々しく、悍ましく、けれど気高い「生きた時間」を掬い取る、百の断片。
──これは、一首が生まれる、前夜の物語。
(★印は、特に筆致の濃い「おすすめ」回です)
彼らは絶望し、激しく恋をし、そして、溢れ出した余計な言葉をすべて捨てた。
墨が紙に染み込む直前、確かにそこに息づいていた、
瑞々しく、悍ましく、けれど気高い「生きた時間」を掬い取る、百の断片。
──これは、一首が生まれる、前夜の物語。
(★印は、特に筆致の濃い「おすすめ」回です)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!歌一首を刃に替え、飛鳥の夜へ誘う歴史短編連作、格好良い読み応え十分だ。
『百人一首前夜』は、百人一首の名歌を「その歌が生まれる直前の夜」として立ち上げ、歴史の出来事と人の迷いを同じ画面に置く連載だ。第3話まででも、歌が教科書の中の説明から離れ、息と体温のある独白として聞こえてくる。
とりわけ第1話では、乙巳の変を前にした中大兄皇子が、田のほとりの仮庵に身を寄せ、苫の隙間から落ちる露が緋色の袖をぽたり、ぽたりと濡らしていく。その冷たさを払わず受け止める描写が、決断の前夜に残るためらいを、説明ではなく感覚で読者に渡してくる。夜明けに田が金色に照らされても「袖の露は乾かない」という余韻が残り、行動の結果だけでなく、背負い続ける重さまで射程に入っている。
第2話は白…続きを読む