願いの花
えびえび
願いの花
その花を見つけると、願いが叶うらしい。
この町の子供はそう言われて育ってきた。
その花というのは、この町の裏山で、大晦日の夜にしか咲かない花のこと。
伝説に近いのかな?
私も例外ではない。この言い伝えはお母さんより、おばあちゃんよりその前の代から続いてるらしい。
「
「俺は信じてるよ。高校生になってもまだ信じてるの、俺と
「そうかも。もうみんな信じてないって言ってるし…」
「俺らはずっと、童心でいような」
「そーだねぇ」
そんなことを言いながら私と笑い合ってるのは幼馴染の
「でもいつかはさ、見てみたくない?」
「だよなぁ。来年には大学で地元離れるし」
「私たちも離れ離れになっちゃうしね」
「寂しいか?」
「べっつにー」
…寂しいに決まってんじゃん。
ずっと一緒にいたし、めっちゃ好きだし。
「命は、花を見つけたらなに願うの?」
灯とずっと一緒にいられますように。
そんなの恥ずかしくて言えない。
「ひみつ!」
「えー、教えろよ」
「灯は?」
「秘密〜」
「やっぱり…」
気になるなぁ、灯の願い事。
「…なあ命」
「なーに?」
「今から探しに行かね?その花」
「えっ、いまから!?」
「だって大晦日じゃん、今日。」
「そうだけど…」
「来年はもうここにいないんだぞ?」
たしかに、今年が最後のチャンスなんだ。
それに、灯ともしばらく会えなくなるし…。
「行こう!行きたい、私!」
「よしっ!じゃあ行こう!」
そんな感じで私と灯は、裏山に行った。
しばらく歩くが、それらしいのはない。
「本当にあるのかなぁ」
灯が不安そうにつぶやく。
「あるよ、きっと。」
私は答える。
すると灯は微笑む。
「ありがとう、命。俺のわがままに付き合ってくれて」
「こちらこそ、誘ってくれてありがとう。いつか絶対来たいと思ってたから」
「そっか…」
灯はそれから少し考えて、ぽつり、と言う。
「俺さ、正直、最初はこの噂信じてなかったんだよね」
「えっ、そうなの⁉︎」
私より言い伝えを信じてるんじゃないかってくらいの灯から出た言葉は本当に意外だった。
「だけど、めっちゃ信じてる奴がいてさ。そいつのせいで、今になっては俺はこの町で1番信じてる人間になった。」
「うん…」
「それがお前だよ、命」
「え、私!?」
「小学校のときさ、私ならこんな願い事する〜って毎日言ってくるから、俺も信じるようになっちゃったじゃん」
「そうなんだ…知らなかった…」
ちょっと恥ずかしいかも。
でも、私のおかげなら嬉しいな、なんて…。
「俺は、花を見つけられたら…」
「____命とずっと一緒にいられますようにって願うよ」
心臓が跳ね上がる。
願い事があまりにも一緒だったから。
「好きだよ、みこと。」
「ほん…とに?」
「それで、花を一緒に見たいなってずっと思ってた」
「わたしも、」
「?」
「私も、同じだよ…!好きだな、ずっと一緒にいたいなって思ってたし、花を一緒に見たいなって!」
「ぅ、え…?ほんとに?」
「ほんと!好きだよ、ともり!」
「ずっと一緒にいてくれる…、?」
「もちろん!ずっと一緒にいようよ!」
「…!ありがと、笑」
花を見つける前に願いを叶えてしまった私達は、午前0時がまわっても笑い合っていた。
数年後、灯が教えてくれたけど、花が咲いてるところで私に告白してくれたらしい。
「教えてよ、その時に私も見たかったのに!」
「ごめんね笑。今年は見れたから許して」
「…来年も、一緒にいてよ?」
「来年だけじゃなくて、ずっと一緒にいるから」
__その花を見つけると、願いが叶うらしい。
その噂は本当だよ、ってみんなに言うのはもう少し先でいいかなって思う。
この町の裏山で、灯と2人で過ごす静かな大晦日が世界でいちばん好きだから。
願いの花 えびえび @fuyuchan
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