妖刀の絆

小宮 あろ羽

プロローグ

第一話

 あの日、全て変わってしまった。祖父と愛する者を殺されたから。


 私は息を切らしながら、階段を駆け上がっていく。そのたびに、血の匂いが濃くなる。屋敷まであと少し。嫌な予感がする。


(お願い、どうか、間に合って……)


 息が苦しくなる。でも、急がなければ、間に合わないかもしれない。

 私は焦燥に駆られながらも、屋敷へと戻っていく。見えてきたのは、二本の鋭利な角を生やした金髪の青年の姿。彼は妖であり、鬼族の鬼琉きりゅうだ。見えたのは上半身だけ。けれど、怪我していない。無事みたいだ。


「鬼琉っ!」


 私は安堵して、階段を上り切った。

 だけど……。


「っ!」


 彼の全身を目にした瞬間、私は思わず立ち止まってしまった。彼は確かに立っていた。だが、刀を貫かれていた。真っ黒な布を頭で覆いつくした者の手によって。その刀は確実に彼の心臓を貫いていた。

 持ち主は妖艶で不敵な笑みを浮かべながら。私はその者からまがまがしい霊力を感じ取った。彼の血が刀を伝って、きゃしゃな腕に滴り落ちた。


「あ……ああ……」


 私は最悪の光景を目の当たりにしていた。最愛の彼が殺される瞬間を。

 時に見守り、厳しくも優しく接してくれた。家族以上の愛情を抱いていた。そんな日々がずっと続くと思っていたのに。

 体が震え、めまいがする。目の前が真っ暗になりそうだ。力が抜けて倒れそうになった。


「鬼琉っ!」


 私は全てを奪われた。家族も愛する者も。残されたのは、悲しみと絶望と、憎悪だけだった。だから、私は決めた。


(あなたを、許さない。絶対にっ!)


 必ず、見つけ出す――


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2026年1月2日 18:00
2026年1月3日 18:00
2026年1月4日 18:00

妖刀の絆 小宮 あろ羽 @arohasu

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