血界の鬼

暗黒神ゼブラ

血界の鬼

血界の鬼


「おっとおっとここから先には行かせないぜ。行きたきゃ俺様を昇天(殺して)からにしな」

「ゲホッゲホッ……あ〜面倒だなぁ僕は主と関係ないことしたくないだけどなぁ……まあいいや、あんたを殺して主に褒めてもらうことにしよ〜っと!!」

「来な嬢ちゃ〜ん」

僕は認められなければ生きる価値がない。

ずっとそう思っていた、主と出逢うまでは!!

「おっと表情が変わったな」

「僕は主のためにあんたを殺す」

僕の能力は"自己肯定"自らを認めることで強くなれる。

「主のためなら僕はなんでも出来る。あんたはどうなんだ」

「俺様だってそうだ、嬢ちゃんより気持ちは強いぜ。おっと嬢ちゃんを否定するわけじゃないぜ」

僕はこのオッサンを細かく切り刻んだ。

「呆気ないじゃん、オッサ〜ン……ゲホッゲホッ」

ガタッ

何この音……おかしい、オッサンの方から聞こえる。

僕が殺し損ねたの……違う、僕は

「そういや説明してなかったぜ。俺様の能力は鉄を操る、例え能力者である俺様が死んだところでな。因みに全て鉄で出来てる自慢の身体なんだぜ」

「嘘だ、それならさっきの血は……なんなんだ!?」

「それはな……嬢ちゃんの血だぜ、気づかなかったのか?」

「何を言って……」

あれ、意識が……僕はなんでも出来る、僕は主に出来ないことはない、僕は……

「最強なんだ!!」

「おっとおっとこのままだと嬢ちゃんに負けちまうぜ……な〜んてな」

パチン

僕は知らない場所に飛ばされていた。

「なっ、なんなんだここは」

「ようこそ血界(俺様の世界)へ。そろそろ奪った血液の使用期限が過ぎちまうとこだったんだ。嬢ちゃん……悪く思うなよ」

「僕は負けない!!」

オッサンは僕の能力(自信)を粉砕するように攻撃してきた。

最初はまるで商品化を担当する機械のように均等に指を一本ずつ丁寧に捩じ切られた後オッサンの血液で繋がれ再び動かせるようにされた。

二回目はゼリー状の血液で窒息させられ意識が途切れるギリギリのところで両脚を切断させられて目が覚めたところを繋がれた。

五十三回を超える辺りから僕は幾度となく『もう嫌だ、やめて』と言ってもオッサンは聞いてくれなかった。

それどころか、意気揚々と血液を入れながら僕の臓器を引き摺り出した。

僕が叫ぶごとにオッサンの笑みが増え……僕は負けを認めたかった。

「おっとおっと壊れちゃうのはまずいな安心しな主ちゃんの元に送ってあげるぜ」

「いやだこんな姿見られたら僕は……僕は」

「嬢ちゃんの主はその程度で嬢ちゃんを見捨てるのか? 嬢ちゃん曰く違うんだろ」

「そう、そうだ。主は凄いんだ!! 主が僕を捨てるわけない」

そして僕は四肢無く倒れたまま主の足元に落とされた。

「僕ちゃんと主のために…………」

「ゴミが出てしまったな。掃除しなければ」

「…………なっ、何を言って、やめてやめてよ主!!」

自己肯定が出来なくなった僕が耐えられるわけもなく主に殺された。

「おっと死んじまったな〜」

「おい鮮血鉄鬼(せんけつてっき)ゴミを掃除したぞ。今度は貴様の番だ」

「おっとおっと俺様の強さ忘れたとは言わせないぜ」

「忘れるわけがなかろうが、"血界の鬼"」

「その名久しぶりだ。テメェ何者だ」

「俺は鬼嶋志島(きじましじま)」

「おっとおっとおっと姿が変わりすぎだろどうなってんだぜって感じだ。ここを通させるわけにはいかない特に鬼島テメェにはな!!」


おしまい

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血界の鬼 暗黒神ゼブラ @ayumu20

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