良い女
鈴鳴さくら
医療脱毛全身コース
わたしは毛深い。
女にしてはかなり体毛が濃い方だ。化粧で隠してきたが口の周りのムダ毛はカミソリで剃っても青く見える。
今までカミソリで剃ってきたが最近両腕の肌がポツポツと盛り上がり荒れている。カミソリ負けだ。このままカミソリで剃り続けると全身の肌がポツポツに侵食され、ヒキガエルのようになってしまうのではないか。ヒキガエル人間と呼ばれテレビの密着取材を受けることになるかもしれない。池や沼にいけばヒキガエルがわたしを仲間だと勘違いし背中に飛び乗ってくるかもしれない。嫌だ…!わたしの被害妄想は膨らんでゆく。
おわかりのように、美意識の低いわたしだがついに決心した。脱毛しよう。
幼少期よりわたしを悩ませるムダ毛よ。もういい加減消えてくれ。
三日前に剃ったばかりにも関わらず体育の授業で体操着のハーフパンツから覗く膝小僧とふくらはぎからぴこんと黒い芽が確認できて病んでた思春期の14歳くらいのわたしよ、ようやくわたしは27歳にして脱毛に踏み切るぞ。
脱毛について調べた。医療脱毛は、毛の奥の根まで焼く為に脱毛時に痛みがあるがムダ毛の成長を止めることが可能らしい。最高。全身ツルツルする為には10回以上通う必要がある。
美容皮膚クリニックで医療脱毛の全身コースをとりあえず5回分を申し込んだ。費用は16万程かかった。
美容に興味関心が薄いわたしからすれば、医療脱毛の全身コースの施術は未知の領域だ。16万という大金を貯金からきり崩し容姿の為につぎ込んだ。学生時代はバイト代は全てアニメイトのグッズや漫画につぎ込んでいたし、基本働いていなかったので医療脱毛の全身コースなんて手が出せなかっただろう。
今のわたし、社会人してるって感じするわ〜!とやや自分の頑張りに酔った。大金を使う爽快感もやや感じた。
施術は、全身をジェルで塗りたくり レーザーを当ててゆく。全身脱毛なので一回で2時間はかかる。わたしは特にワキが痛かった。ブチッ!ブチッ!ブチブチ!!と根っこが焼ききれ破壊していただけてる音が聞こえた。歯を食いしばり激痛と恐怖に耐えた。
現在4回目の施術を終えているが、マジで体毛が激減した。ツルツルとまではいかないが、あまり目立たないくらいまで減った。テンションぶちあがりである。カミソリで剃っても剃っても復活し、むしろ以前より濃くなって生えてくるムダ毛との戦いに決着が着く日は近い。
だが、全身ツルツルの肌になったわたしなど未知の自分ある。ムダ毛のないわたしなんてただの良い女だ。
良い女 鈴鳴さくら @sakura3dayo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます