『俺達のグレートなキャンプ207 ダウジング犬でお宝を掘り当てようぜ』
海山純平
第207話 ダウジング犬でお宝を掘り当てようぜ
俺達のグレートなキャンプ207 ダウジング犬でお宝探そうぜ
「よっしゃああああああ!!今日も最高のキャンプ日和だぜええええええ!!」
石川の叫び声が、山間のキャンプ場全体に響き渡る。両手を空に向かって高々と掲げ、胸を大きく反らせて深呼吸する彼の姿は、まるで自然のエネルギーを全身に取り込もうとする修行僧のようでもあり、単にテンションが異常に高すぎる朝の男のようでもあった。朝日が彼の顔を黄金色に照らし、キラキラと輝く瞳には何か企んでいる者特有の怪しい光が宿っている。
「うるさい!まだ朝の8時だって!他のキャンパーさんに迷惑でしょうが!」
富山が眉間に深いシワを刻み、明らかにイライラした様子でテントの入口から這い出してくる。彼女の髪は寝癖でツンツンと四方八方に跳ね、目の下には薄っすらとクマができている。長年の付き合いで培われた「またこいつは朝から...」という諦めと疲労感が全身から滲み出ている。肩を落とし、深いため息をつく彼女の姿は、まるで不良息子を持つ母親のようだ。
「おお!富山も起きたか!千葉もバッチリ準備OKだぞ!」
「はい!もう完璧に目覚めてます!コーヒーも淹れましたよ!」
千葉が焚き火台の前で、コーヒーポットを両手で掲げながら満面の笑みを浮かべている。彼の目は朝日を反射してキラキラと輝き、まるで明日が遠足の小学生のような純粋無垢な興奮が全身から溢れ出している。キャンプ用のチェアに腰掛け、足をバタバタと動かしながら落ち着きなく体を揺らす様子は、何か楽しいことが起きるのを今か今かと待ちわびている子供そのものだ。
「それでですね、石川さん!」千葉がコーヒーポットをテーブルに置き、身を乗り出す。その勢いでチェアが少し前に傾ぎ、危うく転びそうになる。「今日の『グレートなキャンプ』って何やるんですか?!もう気になりすぎて昨日は3時間しか寝てないんですよ!ていうか寝れなかったんですよ!ワクワクしすぎて!」
「ふふふふふ...」石川の口角が不気味にニヤリと持ち上がる。その笑みには明らかに何か壮大な企みを抱えている者特有の怪しさと自信が漂っており、見る者に「ああ、またろくでもないことを...」という予感を抱かせる。彼はゆっくりと腕を組み、胸を大きく張って顎を上げる。「聞いて驚くなよ...今日はな、207回目のキャンプにふさわしい、超絶スーパーグレートな企画を用意してあるんだ!その名も...!」
富山の顔が一瞬で蒼白になる。眉間のシワがさらに深くなり、口元がピクピクと引きつっている。「またですか...」という言葉が喉まで出かかっているのが傍目にもはっきりと分かる。彼女はゆっくりと、まるで爆弾の周りを歩くかのような慎重な足取りで二人に近づいていく。両手を胸の前で組み、警戒心MAXの表情だ。
「ちょっと待って。この前のキャンプで『野生のリス餌付け選手権』やって、リスが50匹くらい集まって、他のキャンパーさんたちのテントに乱入して、管理人さんに1時間説教されたばっかりじゃん。今回は、お願いだから、お願いだから普通にキャンプしようよ。普通に。焚き火して、肉焼いて、星見て、それで十分楽しいから」
「普通?はっ!普通だぜ、今回は!超普通!」
石川が胸を叩く。その自信満々の態度と、目の奥で明らかに踊っている狂気の光が完全に矛盾しており、逆に不安を煽る。
「俺たちは今日、このキャンプ場に眠る『古代のお宝』を発掘するんだ!トレジャーハンティングだ!冒険だ!ロマンだ!」
「...は?」
富山の目が点になる。口がポカンと開き、しばらく固まった後、ゆっくりと首を横に振る。千葉は逆に「おおおおおお!!」と目を見開き、立ち上がって拳を握りしめている。
「このキャンプ場、昔は何かの古い施設だったって管理人の山本さんが言ってたろ?ってことは、地面の下に何か埋まってる可能性があるわけよ!タイムカプセルとか、昔の人が隠した財宝とか、埋蔵金とか、もしかしたら恐竜の化石とか!」
「いや、そんなわけないでしょ...」
「ロマンですねええええ!!」千葉が両手を大きく広げて叫ぶ。「トレジャーハンター!インディ・ジョーンズ!僕、小さい頃からそういうの憧れてたんですよ!宝の地図作って、庭掘り返して、母親に怒られたこともあります!」
「待って待って待って」富山が両手を前に突き出し、必死の形相で制止しようとする。額に汗が浮かび、声が少し震えている。「勝手に地面掘り返したら完全にアウトでしょ。器物損壊とか、不法行為とか、最悪警察沙汰になるよ?私、前科とかつけたくないんだけど」
「大丈夫大丈夫大丈夫!心配性だなあ、富山は!ちゃんと管理人さんに許可もらってあるから!ほら、これ!」
石川がポケットからクシャクシャになった一枚の紙を取り出す。それを広げると、そこには手書きの文字で『キャンプ場内軽微な発掘許可証(但し深さ30cm以内、範囲は直径50cm以内、穴は必ず元通りに埋め戻すこと、他の利用者の迷惑にならないこと、何か出てきても責任は取りません)』と書かれている。
「なんでそんな許可証存在するの!?!?」
富山が頭を抱える。その仕草は「もう知らない」と「でも放っておけない」と「なんで私がこんな目に」の三つの感情が激しくぶつかり合い、カオスと化している内面を如実に表している。
「昨日の夜、管理人小屋に行って、2時間かけて熱弁したんだよ。最初は『何言ってんだこいつ、頭おかしいのか』って顔されたけど、俺の情熱と論理的な説明が通じてさあ。山本さん、意外とノリがいいっていうか、面白い人なんだよね。最後は『まあ、30cmくらいなら大した被害もないか...』って笑ってくれたよ」
「それ呆れられてるだけだから...」富山が小声で呟く。
「でもさあ」千葉が首を傾げる。「お宝って言っても、このキャンプ場めちゃくちゃ広いじゃないですか。どこ掘ればいいか分かんないですよね?適当に掘ってたら何年かかるか...」
「そこだよ!!」石川が指をパチンと鳴らす。その音が朝の静寂に響き、近くのテントから「うるさいなあ」という声が聞こえてくる。「そこで登場するのが、我らが秘密兵器!最強の相棒!探知機を超える探知機!」
石川が管理人小屋の方を勢いよく指差す。そこから一匹の柴犬を連れた管理人の山本さんが、少し疲れた様子でこちらに向かって歩いてくるのが見える。柴犬は茶色い毛並みが朝日に照らされて輝いており、尻尾をピンと立てて元気よく振っている。その小さな体からは、何かエネルギーが溢れ出しているような、落ち着きのない雰囲気が漂っている。
「紹介するぜ!この子が今日の主役、我らがダウジング犬、マロン号だああああ!!」
「...ダウジング犬?」
富山と千葉が同時に首を傾げる。マロンは「ワンワン!」と元気よく吠え、尻尾を高速で振っている。
「おはようございます...」山本さんが苦笑いしながら近づいてくる。50代半ばくらいの、日焼けした顔に深いシワが刻まれた、長年キャンプ場を切り盛りしてきた貫禄のある男性だ。しかしその表情には「本当にこれでいいのか...」という迷いと、「まあ、いいか」という諦めが混在している。「石川さんに昨日2時間も熱弁されまして...うちのマロンを貸すことになりました。ただ、本当に普通の柴犬ですからね。特別な能力とか、まったくないですよ」
「山本さん!本当にありがとうございます!!」石川が深々と、90度近く頭を下げる。「必ずやこの恩、一生忘れません!」
「いや、まあ...マロンも散歩好きですし。でもね、この子、結構パワフルなんですよ。引っ張る力が強いから気をつけて...」
「大丈夫です!僕、昔柔道やってましたから!」
「それ関係ある...?」富山がツッコむ。
「でもあの」千葉が遠慮がちに手を挙げる。「ダウジングって、本来は棒を使って水脈とか探すやつですよね?犬でやるって、どういう...」
「細かいことは気にすんな!」石川が千葉の肩をバシンと叩く。「犬の嗅覚は人間の1億倍って言うだろ?地面の下に埋まってる古いお宝の匂いも絶対嗅ぎ分けられるはずなんだよ!科学的根拠バッチリ!」
「それ科学的根拠って言わない...」富山が頭を抱える。
「とにかく、マロンに地面の匂いを嗅がせて、何か反応した場所を掘る!シンプル・イズ・ベスト!」
「ワン!ワンワン!」
マロンが元気よく吠える。その目はキラキラと輝き、まるで「早く行こうよ!」と急かしているようだ。小さな体が小刻みに震え、足をバタバタと動かしている。そのエネルギーは尋常ではない。
「まあ、30cm以内なら大した被害もないでしょうし...」山本さんが肩をすくめる。「ただ、他のお客さんの迷惑にならないようにお願いしますね。あと、マロンは2時間後には必ず返してください。餌の時間なので。それと...」
山本さんの表情が少し真面目になる。
「本当に、マロンの引っ張る力、侮らない方がいいですよ。うちの息子、この前引きずられて膝すりむきましたから」
「了解です!任せてください!」
石川が力強く頷き、ビシッと敬礼する。山本さんはマロンのリードを石川に手渡す。その瞬間、マロンの体がピクンと反応する。
「それじゃあ、お願いします...」
山本さんは「本当に大丈夫かな...」という不安そうな表情で管理人小屋に戻っていった。
「さあああああ!始めるぜええええ!グレートなキャンプ207回目!『ダウジング犬でお宝探そうぜ大作戦』!スタアアアアト!!」
石川がマロンのリードを高々と掲げる。マロンは尻尾を激しく振りながら、鼻をクンクンと動かし始めた。
「よーし、マロン!お宝の匂い、嗅いでくれ!」
その瞬間だった。
マロンの目が一瞬だけ、鋭く光った。
何かを察知したように、鼻を空中で激しく動かし―
「ワオオオオオオオン!!!」
「え?」
石川が疑問符を浮かべた次の瞬間。
ダッシュ!!!!
マロンが爆発したように走り出した!
「うわああああああああ!!!!」
石川の体が前方に勢いよく引っ張られる。リードを握った両手が前に伸び、体が水平近くまで傾く。足が地面を滑り、まるでウェイクボードでボートに引っ張られているかのような状態に!
「いしかわああああ!!!」
「速い!速すぎる!!柴犬とは思えねええええ!!!」
千葉が叫ぶ。マロンの走るスピードは、もはや犬の範疇を超えている。まるで小型のバイク、いや、爆走する競走馬のようなパワーとスピードだ!四つの足が地面を蹴るたびに土煙が上がり、尻尾がプロペラのように回転している!
「リード離しなさいよ!!」
「離さねええええ!!これが男の意地だああああ!!」
石川の体がキャンプ場を横断していく。足が地面を引きずられ、靴が摩擦で煙を上げている。シャツがめくれ上がり、腹が地面にこすれる。顔に土が飛び散り、口の中にまで土が入ってくる。
「ぐはっ!げほっ!」
「ワオオオオオン!!」
マロンは容赦ない。まるでお宝の場所が分かっているかのように、一直線にキャンプ場を突き進む。
「うわあああ!あっちのテントに突っ込む!」
富山が叫ぶ。確かに、マロンの進路上には他のキャンパーのテントがある。中からは朝食を作る音が聞こえてくる。
「すいませええええん!通りまああああす!!」
石川が叫びながら、テントの横ギリギリをすり抜けていく。テントの中から「え?何?」という驚いた声が聞こえる。
「石川さあああん!!」
千葉と富山が必死で追いかけるが、まったく追いつけない。マロンのスピードは衰えるどころか、加速している。
「これ柴犬じゃない!絶対何か混ざってる!グレイハウンドとか!ターミネーター犬とか!」
千葉が息を切らせながら叫ぶ。
石川の体はボロボロだ。シャツは泥まみれ、顔には引きずられた跡の擦り傷ができ、両肘から血が滲んでいる。それでもリードを離さない。歯を食いしばり、目を見開き、必死の形相でリードにしがみついている。
「くそおおお!!男は...男は...簡単に諦めねええええ!!」
マロンはキャンプ場の端まで走り抜け、森の入口付近でようやく―
ピタッ。
突然止まった。
「うおっ!」
石川の体が慣性で前に飛び、顔面から地面に突っ込む。
ドガァッ!
「いしかわあああ!!」
富山と千葉が駆け寄る。
石川はうつ伏せに倒れている。服は完全に泥だらけ、髪の毛には木の葉や小枝が絡まり、顔は土まみれで、両腕からは血が流れている。まるで戦場から帰ってきた兵士のようだ。
「大丈夫!?生きてる!?」
「...生きてる...かろうじて...」
石川がゆっくりと顔を上げる。その顔には泥と血が混ざり、まるでゾンビのようだ。しかし、その目は...輝いている。
「...最高だ...」
「何が最高なの!?頭打った!?」
「マロン...止まった...ってことは...」
石川がゆっくりと立ち上がる。体中の関節が「ミシミシ」と音を立てる。
「ここだ...ここに何かある...!」
マロンは確かに、特定の場所で鼻を地面にこすりつけている。クンクンと何かの匂いを嗅ぎ、前足で地面を掻き始める。
「マジで反応してる...」千葉が驚いた声を出す。
「いや、たまたまでしょ...」富山が言うが、その声には確信がない。
「掘るぞ...」
石川が腰につけていた小型シャベルを取り出す。両手は震え、服からは血が滴っているが、その目には強い決意が宿っている。
「ちょ、手当が先でしょ!血出てるよ!」
「大丈夫...これくらい...男の勲章だ...」
石川がシャベルを地面に突き刺す。マロンが「ワン!」と吠え、まるで「そこだ!」と言っているようだ。
ザクッ、ザクッ、ザクッ。
土を掘り返していく。10cm、20cm、25cm...
「...あれ?」
シャベルが何か硬いものに当たる。
カツン。
「何か...ある...!」
石川の目が見開かれる。手で土を掻き分けていくと、そこには...
「これ...土偶...?」
小さな、しかし精巧に作られた土偶が現れた。古代の人間を模したような形をしており、表面には細かい模様が刻まれている。
「嘘でしょ...」富山が息を呑む。
「マジで出た!!」千葉が興奮して叫ぶ。
「まだだ...まだ何かある...」
石川がさらに掘り進める。すると...
ゴロン。
青銅のような金属製の器が転がり出てくる。緑青が浮いており、明らかに相当古いものだ。
「うそ...うそうそうそ...」
富山が震える声で呟く。
「ワンワン!」
マロンが興奮して吠える。そして別の場所を前足で掻き始める。
「あっちもか!」
石川が血まみれ、泥まみれのまま、別の場所を掘り始める。
ザクザクザク!
すると...
「化石!?アンモナイトの化石!!」
「嘘だろおおおお!!」千葉が頭を抱える。
マロンはさらに別の場所を示す。
「ワンワンワン!」
「あっちも!?」
もう富山も参戦せざるを得ない。三人で必死に地面を掘り返していく。
すると次々と...
「鎧!?これ、古い鎧じゃない!?」
「日本刀!錆びてるけど、これ本物の日本刀だよ!」
「古銭!古銭がザクザク出てくる!」
「これ何!?青銅鏡!?」
「土器!完全な形の土器!」
キャンプ場の一角が、まるで発掘現場のようになっていく。周りのキャンパーたちも集まり始め、「何が起きてるの?」「すごい...」「本物...?」とざわめいている。
石川は血まみれ、泥まみれのまま、まるで取り憑かれたように掘り続けている。その顔には狂気と興奮が混ざり合った、何とも言えない表情が浮かんでいる。
「まだだ...まだ何かある...マロン、教えてくれ...」
「ワン!」
マロンも負けじと次々と場所を示していく。その小さな体からは、もはや常識では説明できないエネルギーが溢れ出している。
そして―
2時間後。
キャンプ場の一角には、掘り出されたお宝の山ができていた。
土偶×15個、青銅器×8個、化石×20個、鎧×2セット、日本刀×3本、古銭が数千枚、土器×30個、青銅鏡×5個、そして正体不明の金属製品が多数。
石川は地面に座り込み、全身血と泥にまみれ、もはや人間の形を保っているのが奇跡のような状態だ。しかしその顔には、満足げな笑みが浮かんでいる。
「やった...やったぞ...」
「信じられない...」富山も座り込んでいる。彼女の服も泥だらけだ。
「石川さん...あなたは...天才です...」千葉が涙を流している。
周囲には30人近くのキャンパーが集まり、お宝の山を見つめている。
その時、一人の初老の男性が前に出てきた。
「あの...私、考古学者なんですが...」
「え?」
三人が振り向く。男性は60代くらいで、白髪混じりの髪、知的な雰囲気を漂わせている。
「たまたまここにキャンプに来ていたんですが...これ、もしかして見せていただけますか?専門家として鑑定したいんです」
「お、お願いします!」
男性は慎重にお宝を一つずつ手に取り、細かくチェックしていく。その表情は徐々に驚愕に変わっていく。
「これは...縄文時代後期の土偶...この完成度...」
「これ、弥生時代の青銅器...しかもこの保存状態...」
「この化石...ジュラ紀のもの...こんな状態の良いものは滅多に...」
「この鎧...室町時代のもの...まさか本物が...」
「この日本刀...銘が...これ、名工のもの...」
男性の手が震え始める。額に汗が浮かぶ。
「信じられない...これは...これは...」
男性が三人を見る。その目には興奮と畏敬が混ざり合っている。
「これ、全部本物です。しかも、博物館級の代物ばかり。いや、それ以上かもしれない...こんなものが一か所に...」
「本物...」
富山が呟く。
「テレビに出られますよ!間違いなく!大発見です!こんなの、考古学界がひっくり返りますよ!」
男性の声が震えている。
「私、すぐに大学に連絡します!これは正式な調査が必要だ!あなた方、今すぐ文化庁にも連絡を!」
キャンプ場は大騒ぎになった。
管理人の山本さんも駆けつけ、「え?え?何が起きてるの?」と混乱している。
マロンは「ワン!」と誇らしげに吠え、尻尾を振っている。
石川は血まみれ、泥まみれのまま、空を見上げる。
「やったぜ...グレートなキャンプ...207回目...最高だ...」
そして気絶した。
「いしかわあああああ!!!」
―後日。
テレビ局のスタジオ。
有名なお宝鑑定番組のセットに、石川、千葉、富山の三人が座っている。石川の腕には包帯が巻かれ、顔にも絆創膏が貼られている。
「それでは、キャンプ場で発見された驚異のお宝コレクション、総額を発表します!」
司会者が大げさな身振りで叫ぶ。スタジオには緊張感が漂う。
巨大なモニターに数字が表示される。
『5億円!!!』
「ごおおおく!!!」
スタジオが大歓声に包まれる。石川は立ち上がり、両手を上げて喜びを表現する。千葉は泣き崩れ、富山は呆然としている。
「信じられません!縄文土偶だけで3000万円、青銅器が8000万円、室町時代の鎧が1億2000万円、名工の日本刀が1億5000万円...合計で5億円です!」
「やったああああ!!」
石川が叫ぶ。
「それで」司会者が笑顔で聞く。「このお金、どうされますか?」
石川は少し考え、千葉と富山を見る。二人も頷く。
「とりあえず...募金しようと思います」
「え?」
スタジオがざわめく。
「発展途上国の子供たちに、全額寄付します」
石川がきっぱりと言う。
「俺たち、このお宝で十分お宝を見つけたんで。お金より大事なものを見つけたっていうか。だから、困ってる人たちの役に立ててほしいんです」
「素晴らしい!」
司会者が拍手する。スタジオ全体が大きな拍手に包まれる。
―さらに後日。
石川のアパートに、一通の封筒が届く。
中には、発展途上国の子供たちからの手書きの手紙と、政府からの感謝状が入っていた。
『ありがとう。あなたたちのおかげで、学校ができました。病院もできました。みんな、幸せです』
子供たちの笑顔の写真も同封されている。
石川、千葉、富山の三人は、その写真を見ながら笑っている。
「やっぱり、グレートなキャンプだったな」
「はい!最高でした!」
「...まあ、結果オーライだけど、次はもうちょっと安全なやつにしてよね」
三人は笑い合う。
窓の外には青い空が広がり、また次のキャンプへの期待が膨らんでいく。
マロンは、今日も元気にキャンプ場を駆け回っているだろう。
次の冒険者を待ちながら。
(完)
『俺達のグレートなキャンプ207 ダウジング犬でお宝を掘り当てようぜ』 海山純平 @umiyama117
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