興奮者
ヨモギ丸
プロローグ
『てぃんぽこ大魔神先生の新作更新!!ありがとうございます(大感謝)』
『ふぅ…』
『そういう動画販売してます。気になる人は、プロフ見てね❤』
――世の中には、こんな事例が溢れてますよね。でも大丈夫。あなたの『異変』私たちが治します。
お困りの方は、こちらの電話番号まで。
♪~
耳に残って離れないBGMが今日も街には流れている。電車に乗れば広告が、駅から出て上を見上げれば広告が、スマホを開いても、どこにいっても広告が…。
一般社団法人『ノーマル』
人々、特に若者の性の乱れを正すことを目的に活動している団体である。その裏には、信仰している神が関係しているとか、実は日本のスケベ産業を衰退させようとする亡国の陰謀だとか色々な憶測が流れている。
そんな団体が、実権を握っている世の中では、抑圧された性癖が変質し、そして爆発する。その結果誕生した性解放の戦士、彼らの名前は「
*
都内某所に位置する高等学校にて。
「ぜぇぜぇ…。」
「はぁはぁ…。」
「はぁっ、うっ、はぁ…♡」
「ん?」
「なんか変な声しなかったか?」
「いや、しなかったぞ。」
「「そうかぁ…?」」
息を切らした少年たちが、水分補給をしている。
「今日は特にきつかったなぁ。」
「軽く5時間走らされたぜ?」
「言い過ぎだろお゛っ…♡」
「やっぱ、お前じゃね?」
「いやいや、何の話だよ。」
「えー、ぜったいお前だよ、さっきから変な声出してるの。」
「はー?意味わかんねー。」
プルルルル
「やべっ、そろそろイかなきゃ。じゃーな!」
そして、少年は走って行ってしまった。
「あいつ、あれだけ走ってよく走れるよなぁ。」
「あいつ体力バケモンだから。」
「流石、陸上部のエースだな。」
*
同高校にて
「お前、これも食えんのかよ!」
「やばいぞ!こいつ掃除機だ!」
「ぐへへ、も、もっと持ってくるお!!」
教室の一角に、大量のお菓子を机の上に広げ、口の中に押し込む男がいた。見るからに多く食べるだろうという見た目。
「ゲプッ…♡」
「おい、なにゲップしてんだよー!」
「幸せが洩れちゃったお。」
「あはは、面白いなお前、もっと食えよ!」
「ぐぺぇ…幸せぇ…♡」
プルルルル
「やべっ、うっぷ♡ごめん、呼び出された。イってくるお。」
「お、じゃーなー。」
男は、のそのそと、行ってしまった。
「あいつ、すげー食うよなぁ…。」
「跡形もなくな。」
「これなんか机削れてね?」
「偶然だろ。」
「あいつが食ったってか?」
「なわけねーな。がはは」
*
同校にて
「うへへ、すきぃ…これもすきぃ…。」
「あんた、いっつもそればっか。」
「ぎゃはは、顔可愛いのに、雑誌見てよだれたらすとか最悪~。」
「あっ、ごめん。ちょっと好きすぎて。」
昼休みに女子で集まって、ファッション誌を囲んで見ている。
「でも、やっぱもったいないよね。顔は可愛いのに。」
「うん、喋り方がきつい。」
「かわいいけどね。うへへとか勿体ないよね。」
「「「うんうん。」」」
「そんなひどいよー!私は、みんなのことも大好きなのにー!」
勿体ないガールは立ち上がり、残りの三人の方に行って抱き着いた。三人はしょうがないと言わんばかりの顔で、頭を撫でる。
(ぐへへ…うへへへへ…すきぃ、すきぃ…♡)
プルルルル
「ごめんみんな!呼び出されちゃった!もうイくね!」
「えー、またー?」
「もう…ってなによだれたらしてんの、拭いていきな。」
「あ、ありがとっ♡じゃーね。」
そして、小走りで教室を出ていった。
「ほんと勿体ないよね。」
「「ねー。」」
*
同校にて
ピンポンっ!
大きく効果音が鳴り響く、クイズ研究会の部室。
「スリジャヤワルダナプラコッテ。」
「正解!なぜだ、なぜわかる!!」
拍手が巻き起こる。
「続いての問題です。今年のノーベル生理学賞を受賞したアメリ」
ピンポンっ!
「またしてもこの女が押したぁ!」
そう言われたクズ研究会の会長は、頭を捻る。
そして少し恍惚とした表情で
「グリェルリーストンンっ…。」
「正解!流石会長!素晴らしい!」
「ま、まぁね…っ。」
「やけに汗をかいていますが、大丈夫ですか?」
「平気平気。」
「では、次の問題に」
プルルルル
「ごめんみんな、呼び出しだ。」
「わかりました。では、他の会員同士でやっておきます。」
「あ、ああ、よろしく。イってくるねっ。」
こうして、会長は部屋を出ていった。
「会長クイズで熱くなったのかな?」
「体調悪いんじゃね?」
「だな。」
「会長の使ってた椅子、なんか濡れてなーい?」
「会長…そんなになるまで練習するなんて…流石会長だ…!」
部室ないで拍手が巻き起こる。
*
同校にて
旧図書倉庫に一人、パラパラとページをめくりながら、ビクンビクンと震えている男が。
プルルルル
「そろそろイくか…っ。」
男は静かに立ち上がり、旧図書室を出ていった。
*
『集まってもらったのは、他でもない。ノーマル共が遂に動き出した。そこで君たち、未来を背負う変態の君たちには
「はぁはぁ…♡」
「お゛っ…♡」
「うへへ…♡」
「んっ…♡」
「(ビクンビクン)」
『うむ、良い返事じゃ。』
この物語は、世界への反逆者たちがヒーローとして、世界を間違った方向に導く物語である。
興奮者 ヨモギ丸 @yomogu_bekarazu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。興奮者の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます